- 引き渡した後に買主からクレームを貰った……。
- 不動産引き渡しにはどんなトラブルがあるの?
- 不動産をトラブルなく引き渡したい!
不動産引き渡しを控えている方でこのような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
不動産を引き渡した後にトラブルに発展するケースは実際に多く、取引が取り消されたり損害賠償請求されたりする人も少なくありません。
そこでこの記事では、不動産引き渡し時のよくあるトラブル事例8選をご紹介します。
トラブルの原因と併せて解説しているので、引き渡しを控えている方はぜひ参考にしてみてください!
不動産引き渡しのトラブル事例と原因
不動産引き渡しのトラブル事例8選と原因を解説します。
引き渡しをスムーズに進めるためにも参考にしてみましょう。
- 設備が故障していた
- 雨漏り・シロアリが発生する
- 給水管の水漏れが発生している
- 土地の面積が契約書と違っていた
- 土壌汚染や埋設物が発見された
- 境界が曖昧で隣地所有者とトラブルになった
- 想定していない騒音がある
- 契約解除に関するトラブル
トラブル例①:設備が故障していた
不動産の引き渡し後に設備故障が発覚するのは、よくあるトラブルの一つです。
- 給湯器からお湯が出ない
- 水漏れが発生する
- ガスコンロが点火しない
上記のようなケースがあります。
原因:売却前の点検不足や故障の未申告
原因としては、売却前の点検不足や故障の未申告などが挙げられます。
特に中古住宅の場合、長年設備を使用してきたため、経年劣化している可能性があります。
そのため、売却前にすべての設備を使用し、正常に使用できるかどうかチェックすることが大切です。
また、故障しているのを知っているにもかかわらず、直すのが面倒だからといって買主に申告しないケースもあります。
しかし、引き渡し後に確実に発覚するため、事前に使用し、問題があれば修繕しておきましょう。
トラブル例②:雨漏り・シロアリが発生する
雨漏りやシロアリもよくあるトラブル事例です。
これらが発生すると買主は快適に生活できなくなるため、売主へ説明や責任を請求してくる可能性があります。
特に築年数の経過した古い戸建ての場合は建物自体が経年劣化しており、発生する可能性が高いです。
トラブルにならないように原因を把握しておきましょう。
原因:建物状態の未確認
雨漏りやシロアリの原因は、建物状態の未確認が挙げられます。
特に築年数の経過した古い戸建ては経年劣化の影響で、雨漏りやシロアリが発生しやすくなります。
国土交通省の発表によると、築25~29年の木造建物のシロアリ発生率は18.5%と高い数値となっています。
出典:国土交通省補助事業 「シロアリ被害実態調査報告書 」
建物の管理状況により異なりますが、築25~29年の戸建ては5~6戸に1戸の割合でシロアリが発生しています。
雨漏りも同様に、管理が行き届いていないと発生しやすくなるので引き渡し時は注意が必要です。
これらを防ぐためには、建物の外壁や室内の柱、壁などが劣化していないかチェックすることが大切です。
自分で確認できないのであればホームインスペクターなどの専門家へ依頼して見てもらいましょう。
トラブル例③:給水管の水漏れが発生している
給水管の水漏れもトラブルの代表例です。
水漏れは、建物の使用や生活に大きな支障をきたすため、売主は修理や補償を求められることがあります。
特に、給排水管の腐食や故障は見落とされやすく、引き渡し後に問題が発覚するケースが多いです。
原因:引き渡し前の点検漏れ
給水管の水漏れは、引き渡し前の点検漏れが主な原因です。
特に、古い建物の場合は経年劣化によるパッキンの傷み、管自体に破損が発生している可能性が高いです。
給水管の耐用年数は約15年とされており、これを超えると劣化が進行しやすくなります。
また、外部からの衝撃や地震などで管にひびが入ることがあり、冬季には水が凍結して管が破裂するケースも見られます。
水漏れを防ぐためには、定期的なメンテナンスと早期発見が重要です。
日頃から水道料金の急な増加や、壁や床の湿り気などの異変に注意し、異常を感じたら専門業者に相談しましょう。
トラブル例④:土地の面積が契約書と違っていた
購入後の土地の面積が、契約書に記載されている面積と違っているのもトラブルの一つです。
契約書に記載された面積と実際の面積が異なると、費用や計画に影響を及ぼす可能性があります。
特に、登記簿上の面積(公簿面積)と実際に測量した面積(実測面積)が一致しないケースは珍しくありません。
引き渡し後のトラブルに発展しないためにも、原因を理解しておきましょう。
原因:誤った測量方法・契約書の確認不足
土地の面積が違う原因は、誤った測量方法や契約書の確認不足が挙げられます。
土地の面積を決める方法には、「公簿売買」と「実測売買」の2種類があります。
公簿売買では、登記簿に記載された面積を基準に取引しますが、これは古い測量技術や手書きの図面に基づくため、実際の面積と差が生じることがあります。
一方、実測売買では、最新の測量技術を使って正確な面積を測定し、その結果を基に取引します。この方法なら契約書の面積と実際の面積の差異を減らせます。
これらの内容は売買契約書に記載されていますが、十分に確認していないケースも少なくありません。
引き渡し後のトラブルを避けるためにも、契約書記載の面積と実際の面積が同じになっているかどうかを確認しておきましょう。
トラブル例⑤:土壌汚染や埋設物が発見された
土壌汚染や埋設物が発見されるケースも少なくありません。
これらが見つかると建築計画に支障をきたし、撤去費用などの問題が生じる恐れがあります。
売主は、契約時に土地の状態を正確に説明し、買主も事前調査を徹底することが重要です。
原因:土地利用履歴の確認不足
土壌汚染や地中埋設物の発見は、土地利用履歴の確認不足が原因で起こることが多いです。
これらの問題は、取引後に建築計画の遅延や追加費用の発生を招き、買主にとって大きな負担となります。
そのため、取引前に土地の過去の利用状況を詳しく調査することが重要です。
具体的には、古い住宅地図や登記簿を確認し、以前の土地利用を調べる方法があります。
また、必要に応じて専門家による地中調査を依頼することも検討すべきです。
これらの対策により、取引後のトラブルを未然に防げます。
トラブル例⑥:境界が曖昧で隣地所有者とトラブルになった
土地の境界が曖昧で、引き渡し後に買主が隣地所有者とトラブルになるのも、よくあるトラブル事例です。
境界線が不明確だと土地の正確な範囲がわからず、隣地との間で意見の食い違いが生じやすくなります。
特に古い土地や建物の場合、境界を示す「境界標」が見えなくなっているケースがあります。
トラブルを避けるためにも原因を把握しておきましょう。
原因:境界確認の怠り
境界確認の怠りが主な原因です。
境界を明確にするためには、隣地所有者と共同で境界標を設置し、境界確認書を作成することが重要です。
これにより隣地との境界を正式に確認し、将来的な紛争を防げます。
境界確認書の作成には、土地家屋調査士などの専門家の協力が必要であり、費用や時間がかかる場合がありますが、安心して不動産取引を進めるためには欠かせない手続きです。
境界の確認を怠ると、買主が代金の支払いを拒否する正当な理由となることもあります。
そのため、売主は引き渡し前に必ず境界を明示し、買主に安心感を提供することが求められます。
トラブル例⑦:想定していない騒音がある
引き渡し後に買主が「想定していない騒音がある」と主張してくるのも、よくあるトラブル事例です。
隣人の生活音やペットの鳴き声、外部からの騒音などがある可能性を買主へ説明していないケースでよく起こります。
騒音問題は誰もが気にしていることのため、契約時に買主へ確実に伝えましょう。
原因:買主への説明不足
このトラブルの原因は、買主への説明不足です。
売主には、物件の周辺環境について正確に説明する義務があります。
特に、買主が現地見学だけでは気づきにくい夜間の騒音や特定の時間帯に発生する音については、詳細に伝えることが重要です。
適切な説明がないと、買主は安心して新生活を始められず、信頼関係の崩壊や法的な問題に発展する可能性があります。
したがって、物件の引き渡し前に周辺の騒音状況を正確に把握し、買主に誠実に伝えましょう。
トラブル例⑧:契約解除に関するトラブル
契約解除に関するトラブルもあります。
売主が原因のトラブルの場合は「契約不適合責任」に該当し、引き渡し後でも契約解除されるケースがあります。
予期せぬ契約解除を避けるためにも原因を把握しておきましょう。
原因:売買契約時の買主への確認不足
売買契約時の買主への確認不足が主な原因です。
例えば、物件の状態や設備の機能について詳細な説明が欠けていると、後に「聞いていなかった」として問題が発生することがあります。
また、契約内容と実際の物件状況に差異がある場合、買主は売主に対して修理や不足分の引き渡しを求めることができ、対応できない場合は代金の減額や契約の解除、さらには損害賠償の請求に発展することもあります。
これらのトラブルを防ぐためには、契約前に物件の詳細を正確に伝え、買主の疑問や不安を丁寧に解消することが重要です。
さらに、契約書には物件の状態や取引条件を明確に記載し、双方の認識を一致させることが求められます。
不動産引き渡しのトラブルを避けるポイント
不動産引き渡しのトラブルを避けるためにも以下のポイントを押さえましょう。
- 売買契約書を入念に確認しておく
- 買主とコミュニケーションを積極的に取る
- 契約不適合責任を理解する
- ホームインスペクションを利用する
- 個人間取引は避ける
それぞれを詳しく解説します。
売買契約書を入念に確認しておく
不動産の引き渡し時にトラブルを避けるためには、売買契約書の事前確認が欠かせません。
まず、契約書に記載された物件の所在地や面積、構造などの基本情報が正確であるか確認しましょう。
これにより、購入する物件が意図したものであることを確認できます。
次に、売買代金や支払い方法、手付金の額、支払いスケジュールを確認します。
これらの情報を把握することで、金銭面での誤解やトラブルを防ぐことができます。
さらに、引き渡しの時期や条件、物件の状態についても確認が必要です。
例えば、物件が現状のまま引き渡されるのか、修繕が行われるのかなど、詳細を確認することで引き渡し後の問題を避けられます。
買主とコミュニケーションを積極的に取る
買主とコミュニケーションを積極的に取るのも重要なポイントです。
取引の各段階で買主の疑問や不安を解消することで信頼関係を築き、誤解や行き違いを防げます。
例えば、物件の状態や設備について詳しく説明し、買主が安心して購入できるよう努めましょう。
また、引き渡しのスケジュールや手続きについても、買主と十分に話し合い、双方の合意を得ることが重要です。
このように、買主との円滑なコミュニケーションを図ることで、引き渡し時のトラブルを未然に防ぐことができます。
契約不適合責任を理解する
契約不適合責任を理解しましょう。
契約不適合責任とは、引き渡された不動産が契約内容と異なる場合に、売主が買主に対して負う責任を指します。
例えば、物件に欠陥があったり、設備が正常に動作しなかったりする場合が該当します。
2020年4月の民法改正により、この責任範囲が拡大され、買主の保護が強化されました。
売主は物件の状態を正確に把握し、買主に適切な情報提供を行うことが求められます。
ホームインスペクションを利用する
専門家による住宅診断(ホームインスペクション)の利用しましょう。
ホームインスペクションとは、建物の専門知識を持つ第三者が住宅の状態を詳しく調査し、欠陥や問題点を明らかにするサービスです。
これにより、見落としがちな施工ミスや不具合を事前に発見でき、引き渡し前に修繕を依頼することが可能となります。
特に新築住宅でも、施工不良が見つかるケースは少なくありません。
専門家の目でチェックしてもらうことで、トラブルなく引き渡しを完了できるでしょう。
個人間取引は避ける
不動産の取引を個人間でおこなうと、契約内容の不備や物件の状態に関する認識の違いなどからトラブルが発生しやすくなります。
これらの問題を避けるために、できれば不動産会社などの専門家に仲介を依頼しましょう。
専門家のサポートにより、適切な価格設定や契約書の作成、物件の調査がおこなわれ、安心して取引を進められます。
特に初心者の方は、専門家の助けを借りることで複雑な手続きやリスクを軽減できるでしょう。
不動産引き渡しのトラブルを避けるために契約から引き渡しの流れを理解する
引き渡しのトラブルを避けるためにも、契約から引き渡しまでの流れを理解しておきましょう。
- 売買契約の締結
- 手付金の受け取り
- 引き渡し準備
- 決済・登記手続き
- 引き渡し
それぞれの手順を詳しく解説します。
STEP①:売買契約の締結
まずは、買主と売買契約を締結しましょう。
契約書には、物件の詳細、価格、支払い方法、引き渡し時期などが明記されます。
記載内容に誤りがないか、当日までに確認しておきましょう。
契約当日は、重要事項説明と契約内容の確認がおこなわれ、双方が納得した上で契約を結びます。
STEP②:手付金の受け取り
売買契約を締結したら買主から手付金を受け取りましょう。
手付金とは、契約が正式に成立した証として支払われるもので、一般的に物件価格の10~20%が支払われます。
また、手付金は契約の証明だけでなく、契約解除時のペナルティとしての役割も持っています。
買主が契約を解除する場合、手付金を放棄することで解約が可能です。
一方、売主が契約を解除する際には、受け取った手付金の倍額を買主に支払う必要があります。
このように、手付金は双方の契約履行を促す重要な役割を果たしています。
STEP③:引き渡し準備
手付金を受け取ったら引き渡しの準備を始めましょう。
まず、売主は引っ越しを完了し、物件を空の状態にしておく必要があります。
引き渡し日が決まったら、早めに引っ越しの手配を進めましょう。
特に、春先など引っ越し業者が混み合う時期には、希望日に引っ越しができない可能性もあるため、注意が必要です。
また、電気や水道などのライフラインは引き渡し直前まで契約を継続しておくと、最終確認や清掃の際に便利です。
STEP④:決済・登記手続き
引き渡し準備が完了したら、決済と登記手続きをおこないましょう。
決済では、売買代金の支払いや不動産会社への仲介手数料などの支払いをおこないます。
また、抵当権抹消登記や所有権移転登記などもおこなわれるため、必要書類や印鑑などを準備しておきます。
決済当日は、売主と買主、不動産会社の担当者と司法書士が集まるため、忘れ物しないよう気を付けましょう。
STEP⑤:引き渡し
決済と登記手続きが完了したら、いよいよ引き渡しです。
売主から買主へ関連書類の引き渡しを実施します。
これらの手続きが完了すると、物件の引き渡しが正式に完了します。
引き渡し後も買主と連絡を取る場面があるかもしれないため、連絡先を交換しておきましょう。
不動産引き渡しのトラブルにおける主な相談先
引き渡し時にトラブルが発生した際は以下へ相談しましょう。
- 仲介先の不動産会社
- 弁護士・司法書士・土地家屋調査士
- 全国宅地建物取引業協会連合会
- 不動産適正取引推進機構
- 住まいるダイヤル
仲介先の不動産会社
不動産会社に仲介してもらっている場合、仲介先の不動産会社へ相談しましょう。
不動産取引の専門家であり、契約内容や物件の状況を詳しく把握しています。
例えば、引き渡し後に設備の不具合や契約内容と異なる点が見つかった場合、売主と買主の間に立って問題解決をサポートします。
また、法律や手続きに関する知識も豊富で、適切なアドバイスを提供してくれます。
弁護士・司法書士・土地家屋調査士
弁護士・司法書士・土地家屋調査士などの専門家へ相談するのも有効な手段です。
弁護士は法律の専門家として、契約上の問題や相手との交渉、訴訟手続きなど幅広く対応できます。
司法書士は、主に不動産の登記や名義変更の手続きを専門としています。相続や贈与に伴う名義変更、抵当権の設定・抹消など、登記に関する手続きで頼りになります。
土地家屋調査士は、土地や建物の境界を明確にする専門家です。
土地の境界線が不明確で隣地所有者と争いが生じた場合や、建物の表示登記が必要な際に活躍します。
境界確定測量や表示登記の手続きを通じて、物件の物理的なトラブル解決をサポートしてくれます。
全国宅地建物取引業協会連合会
画像引用:全宅連
全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)は、各都道府県の宅地建物取引業協会(宅建協会)で構成される全国組織で、約10万の不動産業者が加盟しています。
主な目的は、不動産取引の適正化と消費者保護であり、不動産取引に関する苦情や相談に対応し、トラブル解決のサポートを行っています。
不動産の引き渡しに関するトラブルでお困りの際は、全宅連や各都道府県の宅建協会に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けられる可能性があります。
さらに、全宅連は「ハトマーク」をシンボルとして掲げており、信頼できる不動産業者の目印となっています。
不動産取引に不安を感じたら、ハトマークのある業者や全宅連に相談すると良いでしょう。
不動産適正取引推進機構
画像引用:不動産適正取引推進機構
不動産適正取引推進機構(RETIO)は、不動産取引に関する紛争の未然防止や解決を支援する専門機関です。
不動産取引に関する問題について、専門家が相談に応じ、公平な立場で助言を提供します。
また、不動産取引に関する紛争事例の調査や研究を行い、トラブル防止のための情報提供も行っています。
RETIOは、消費者と不動産業者の間に立ち、公平で迅速な問題解決をサポートする機関として信頼されています。
不動産取引で困ったことがあれば、まずはRETIOに相談することをおすすめします。
住まいるダイヤル
画像引用:住まいるダイヤル
住まいるダイヤルは、国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口で、年間3万件以上の電話相談を受け付けています。
公正・中立な立場で、建築士などの専門家が直接電話で対応し、住宅に関するさまざまな問題についてアドバイスを提供しています。
電話受付時間は平日の10時から17時まで、全国どこからでも市内通話料で利用可能です。
不動産の引き渡しに関するトラブルでお困りの際は、まず住まいるダイヤルに相談してみましょう。
不動産引き渡しのトラブルに関するよくある質問
不動産引き渡しのトラブルに関するよくある質問をご紹介します。
引き渡しについての疑問や不安を参考にしてみましょう。
- 不動産引き渡しについての民法のルールは?
- 不動産の引き渡し日は延期できる?
- 不動産引き渡し時において登記は必要?
不動産引き渡しについての民法のルールは?
不動産の引き渡し時には、契約内容と異なる問題が発生することがあります。
これを防ぐため、2020年4月に民法が改正され、「契約不適合責任」という新しいルールが導入されました。
この改正により、売主は契約内容に適合しない物件を引き渡した場合、買主から修理や代替品の提供、代金の減額、損害賠償、契約解除などを求められる可能性があります。
(買主の追完請求権)
第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。引用:e-GOV法令検索
(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。引用:e-GOV法令検索
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。引用:e-GOV法令検索
(目的物の滅失等についての危険の移転)
第五百六十七条 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。引用:e-GOV法令検索
このように、引き渡しのルールはいくつかあるため、理解していないと思わぬ損害を受ける可能性があります。
不動産の引き渡し日は延期できる?
不動産の引き渡し日は、売主と買主の合意があれば延期できます。
ただし、契約書に定められた日程を変更することになるため、慎重な対応が必要です。
延期を希望する場合、まずは相手方に早めに相談し、双方の同意を得なければなりません。
その際、変更内容を明確にした「期日延長合意書」を作成し、署名・捺印を行うと安心です。
不動産引き渡し時において登記は必要?
売主は引き渡しまでに抵当権抹消登記を、買主は引き渡し後に所有権移転登記が必要です。
抵当権抹消登記は、住宅ローンを組んで不動産購入した際に設定される抵当権を抹消する手続きであり、抵当権を抹消することで正式に売却できます。
所有権移転登記は、取引された不動産が正式に買主の所有物と証明するために必要な手続きです。買主は取引後速やかに登記しましょう。
なお、これらの登記は司法書士へ依頼するのが一般的です。
まとめ:不動産引き渡し時のトラブルを理解してスムーズな引き渡しを実現させましょう!
不動産引き渡し時のトラブル事例をご紹介しました。
不動産を引き渡す際や引き渡した後は、契約内容の相違によって買主とトラブルになるケースも少なくありません。
トラブルの原因が売主にある場合、損害賠償請求や減額請求される場合があります。
特に、不動産は高額な取引であり、手間や時間もかかるため、一度トラブルになると面倒なことになります。
引き渡し時のルールや売買契約書の内容を十分に理解して、トラブルなく引き渡せるように準備しましょう。