不動産売買における手付金を現金で支払うのはなぜ?相場や返金について徹底解説!

手付金を現金で支払うのはなぜ?
  • 手付金ってなんで現金で払うの?
  • そもそも手付金ってなんだろう?
  • 手付金って返ってくるの?

不動産の売買契約時に支払う「手付金」は、売買契約を約束するために買主が売主へ支払うお金です。

しかし、手付金の必要性や金額、支払い方法を理解していない人も少なくありません。

そこでこの記事では、「不動産売買における手付金はなぜ現金払いなのか?」について詳しく解説します。

不動産売買を検討している方、売買契約を控えている方はぜひ参考にしてください。

目次

不動産売買の手付金を現金で支払うのはなぜ?2つの理由

手付金を現金で支払うのには、以下2つの理由があるからです。

理由①:金融機関の営業時間外に取引する場合があるから

手付金は売買契約日に支払うのが一般的です。

しかし、不動産の売買契約は金融機関の営業時間外である土日祝日に行われるケースが多く、振込では売買契約時に支払うのが難しくなるからです。

ウル蔵
振込だと数日のズレが出てしまうんだ

契約時に売主が手付金の受領を確認できないと、取引が正式に成立したという安心感が得られません。

そのため、振込よりもその場で確実に支払える現金が選ばれることが多いのです。

理由②:振込ミスや遅延を未然に防ぐため

銀行振込では、口座番号の入力ミスや名義の間違いなどにより、手続きが正常に完了しないケースがあります。

特に高額な取引では、確認作業に時間がかかることもあり、契約当日に問題が発生すると契約自体がスムーズに進まない恐れもあります。

ウル蔵
金融機関によって対応時間に差があるんだ

また、金融機関の営業時間外やシステムトラブルにより振込が予定通りに完了しない場合があるのも振込のリスクです。

さらに、銀行によっては振込の反映時間が異なるため、当日中に着金しない場合もあり、契約の進行に影響を与える場合があります。

その点、現金払いなら、その場で手付金の受け渡しが完了し、売主も確実に受領を確認できます。

不動産売買における手付金とは?

「そもそも手付金ってなに?」と思っている方も多いでしょう。

ここでは、手付金の意味や必要性などを解説します。

売買契約の成立を証する役割を持つ

不動産売買における手付金とは?

手付金の支払いにより、売買契約の成立を証明するため、売主と買主の双方が契約に合意したことが明確になります。

また、手付金は契約を簡単に解除させないための保証金としての役割も果たしており、万が一契約解除した際は以下の対処をしなければなりません。

買主が解除:支払った手付金の放棄(売主へあげる)

売主が解除:受け取った手付金の倍額の返還(買主へ返す&同額を支払う)

このように、手付金は契約の成立を証明し、双方に契約を履行させるための重要な役割を担っています。

ウル蔵
「手付金払ったから契約する!もし解除したら弁償するよ!」って意味なんだ

内金、申込金との違い

内金とは、売買代金の一部を前もって支払うもので、手付金とは異なり、契約解除に関する特別な効力はありません。

つまり、内金を支払った後に契約を解除した場合、内金は基本的に返金されます。

ウル蔵
手付金ほど拘束力はないんだね

申込金は、購入の意思を示すために支払うお金で、契約前に物件を押さえる目的があります。

主に賃貸契約時に支払うものであり、契約に至らなかった場合は返金されるのが一般的です。

不動産売買における手付金の種類

手付金には以下3つの種類があります。

それぞれの意味を理解しておきましょう。

一般的な手付:解約手付

解約手付とは、契約後でも相手が履行に取りかかる前であれば、違約金を払うことで解除できる手付です。

履行とは:契約で約束した内容を実際に実行すること

  • 購入代金を用意する
  • 購入代金を支払う
  • 所有権移転登記をする

上記が「履行」に該当します。

前述のとおり、買主は支払った手付金を放棄し、売主は受け取った手付金の倍額を返すことで契約を解除できます。

ただし、相手が契約の履行に着手した後は契約解除できません。

そのため、契約解除を検討する際は、相手の履行状況を確認することが重要です。

契約違反時の手付:違約手付

違約手付とは、契約の相手が約束を守らなかった場合に備えて、あらかじめ定めておく手付金のことです。

例えば、買主が支払うべき代金を期限までに支払わない場合、売主は受け取った手付金をそのまま受け取ります。

逆に、売主が物件を引き渡さない場合、売主は手付金の倍の金額を買主に返さなければなりません。

このように、違約手付は契約違反があったときのペナルティとして機能します。

契約を確証するための手付:証約手付

証約手付は、契約が成立した証拠として買主が売主に支払うお金です。

証約手付を支払うことで、双方が契約に合意したことを明確に示します。

例えば、口頭での合意だけでは後々トラブルになる可能性がありますが、証約手付を交わすことで契約の存在をはっきりと確認できます。

ただし、現代では契約書を作成することが一般的であり、証約手付を利用するケースは少ないです。

ウル蔵
今は解約手付が一般的だよ

不動産売買における手付金相場は売買代金の5~10%

手付金の相場は売買代金の5~10%です。

売買代金が3,000万円の場合:3,000万円×5~10%=150~300万円

手付金の金額は、売主と買主の合意で決まります。

高すぎると買主の負担が大きくなり、低すぎると契約が簡単に解約される可能性があります。そのため、適切な金額設定が重要です。

なお、一般の人が売主の場合は手付金に上限額がないため、相場を超える手付金を受け取っても問題ありません。※売主が宅建業者であれば売買代金の20%が上限

手付の額に決まりはありません(ただし、宅建業者が自ら売主の場合は手付の額は売買代金の20%が上限として制限されています。)。契約をし易くするために10万円から50万円程度の少額の手付金で行うことも少なくありませんが、売買代金の5%から10%で額の手付金が授受されることが一般的です。

引用:東京都住宅政策本部「「不動産取引の手引き」6 契約をする前に(1)

不動産売買における手付金はいつ払うのか

不動産売買における手付金を支払うタイミング

手付金は、契約が成立した証する役割を持っているため、売買契約が完了した際に支払います。

具体的には、封筒に現金を入れ、契約書に署名・押印した直後に売主へ手渡します。

ただし、手付金の金額が大きい場合は、現金を持ち運ぶリスクが伴うため、事前に銀行振込で支払うケースもあります。

ウル蔵
その場で数百万円を手渡しするんだ

不動産売買における手付金の注意点

手付金にはいくつかの注意点があります。

売主と買主によって気を付ける点が異なるため、事前に確認しておきましょう。

売主の注意点①:手付金額の設定

手付金額は売主と買主が話し合って決めますが、買主任せにするには避けましょう。

手付金額によって以下のようなリスクがあります。

  • 手付金額が高すぎる:買主負担が大きくなるので契約自体成立しにくくなる
  • 手付金額が安すぎる:簡単に契約解除される恐れがある

そのため、手付金の金額は慎重に設定し、買主とよく話し合って決めることが大切です。

売主の注意点②:解約時は倍額を買主に提供しなければならない

売主の都合で解除する場合、受け取った手付金の倍額を買主に返す必要があります。

倍額返還=受け取った手付金の返還+同額の支払い

ウル蔵
売主にもリスクがあるんだ

ただし、買主が契約の履行に着手している場合は、倍額提供しても契約解除できなくなるので十分に注意しましょう。

売主の注意点③:契約内容を確認しておく

手付金の額やルールについては売買契約書に記載されるため、契約する前に必ず確認しておきましょう。

契約した後の場合、買主が履行に着手すると契約解除できなくなります。

そのため、契約日よりも前に売買契約書を入念に確認しておきましょう。

ウル蔵
担当者に言えばコピーを貰えるぞ

契約前であれば無償で取引をキャンセルできるため、不要なトラブルを回避できます。

買主の注意点①:住宅ローン特約が付いているか確認する

住宅ローン特約とは、ローン審査に落ちた場合に支払った手付金が返還され、契約を解除できる制度です。

住宅ローン特約が付いていない状態で契約した場合、審査に落ちてしまうと違約金を支払って契約解除する事態となります。

そのため、契約前に必ず「住宅ローン特約」の有無を確認しておきましょう。

買主の注意点②:現金の紛失に気を付ける

手付金は基本的に売主へ手渡しするため、契約当日は現金を持ち運ばなければなりません。

そのため、運んでいる最中に紛失する可能性もゼロではないため、十分に注意が必要です。

ウル蔵
数百万円を封筒に入れて持ち歩くから危険なんだ

特に、売買代金が高額な場合は手付金も高額になるため、持ち運ぶのにはリスクが伴います。

もし、持ち運ぶのが不安なのであれば、銀行振込や小切手での支払いもできるため、売主や不動産会社の担当者へ相談してみましょう。

不動産売買の手付金を現金で支払うのはなぜ?に関するよくある質問

手付金の現金払いに関するよくある質問をご紹介します。

手付金に関する疑問や不安を参考にしてみましょう。

手付金で違法になる行為は?

以下の行為は違反です。

  • 契約後に一方的に解除して手付金を返さない
  • 手付金を受け取りながら他の買主と契約する
  • 手付金を契約前に預かる

売主の方は上記の行為に注意し、買主の方は上記行為を確認したら担当者へ相談しましょう。

なお、売主が宅建業者の場合、違法行為については以下のように宅建業法で定められています。

【禁止行為】

1. 手付について信用の供与により契約の締結を誘引する行為
①手付金を貸付けることで契約を誘引すること
②手付金を分割又は後払いにすることで契約を誘引すること

引用:東京都住宅政策本部「宅建業者が禁止されている行為

手付金が用意できないからといって、後払い分割払いにするのは違法です。さらに、不動産会社から手付金を借りるのも違法行為です。

買主の方は、不動産会社から提案されても断りましょう。

手付金の渡し方は?

現金での手渡しが一般的です。

振込やでも支払いは可能ですが、契約後すぐに入金確認ができない可能性があり、手続きがスムーズに進まない場合があります。

また、事前に振り込むと、万が一のトラブル時に返金が難しくなるリスクも考えられます。

そのため、契約当日に現金を持参し、その場で手付金を支払うのが一般的です。

手付金は返ってくるの?

以下のようなケースでは手付金が返ってきます。

  • 売主都合による契約解除
  • 売主の契約違反
  • 住宅ローン特約の適用

手付金を支払い、契約に向けて進めている最中に売主都合で契約解除された場合は手付金が返ってきます。

また、売主が契約内容を守らなかった場合などでも返ってきます。

ほかにも、住宅ローン特約を設定しており、住宅ローン審査に落ちた場合にも特約の効果が適用されて返還されます。

どのような状態になると返還されるのか理解しておきましょう。

まとめ:手付金を現金で支払うのは売買契約をスムーズに進めるため

「不動産売買における手付金は、なぜ現金で支払うのか?」について解説しました。

手付金は、売買契約時に買主が売主へ支払うお金ですが、現金で直接支払うのが一般的です。

振込の場合、金融機関の営業時間外に契約するケースなどにより、入金がすぐに確認できないリスクがあります。

手付金は、契約を証する意味を持った費用であるため、できる限り早く売主へ渡すのが重要であり、振込だと遅延する恐れがあるのです。

不動産売買を検討している方、売買契約を直近に控えている方などは、ぜひこの記事を参考に手付金の受け取りや支払いを完了させましょう!

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