- 専属専任媒介契約ってなに?
- ほかの媒介契約との違いを知りたい!
- 専属専任媒介契約したけど自分に合っているのかな……
専属専任媒介契約は媒介契約の一種ですが、意味や特徴を理解していない人も少なくありません。
そこでこの記事では、専属専任媒介契約の意味や特徴などを詳しく解説します。
この記事を読めば、専属専任媒介契約の魅力やデメリットなどがすべてわかります。
これから媒介契約を結ぼうとしている方は、ぜひ参考にしてみてください!
そもそも媒介契約とは
そもそも媒介契約とはどんな意味なのか解説します。
契約の意味や不動産会社との関係について以下の2点を理解しておきましょう。
- 不動産会社に「仲介」してもらう契約
- 媒介契約は3種類ある
不動産会社に「仲介」してもらう契約
媒介契約とは、不動産を売ったり買ったりする際に不動産会社に仲介してもらうことを約する契約です。
不動産は個人でも売買できますが、専門的な知識が絡むため、不動産売買のプロである不動産会社に仲介してもらうのが一般的です。
そして、媒介契約を締結すると不動産会社が以下のような売却活動をしてくれます。
【不動産会社の主な売却活動】
- レインズへの物件登録
- 広報活動
- 重要事項説明
- 売買契約
- 業務報告
不動産情報サイトへの物件掲載や広告掲載、チラシ配りなどの広報活動をおこなってくれるため、買主が見つかりやすくなります。
また、重要事項説明書の作成や説明、売買契約の締結なども代わりにおこなってくれるので、初心者の方でも安心して売却できます。
このように、媒介契約を結ぶことで不動産会社が代わりに売却を進めてくれるため、トラブルなくスムーズに売却するために媒介契約が必要といえるでしょう。
媒介契約は3種類ある
媒介契約は以下の3種類があります。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
他社との契約 | × | × | 〇 |
買主の自己発見取引 | × | 〇 | 〇 |
REINSへの登録義務 | 契約から5日以内(休業日を含まない) | 契約から7日以内(休業日を含まない) | 義務なし |
業務報告義務 | 1週間に1回以上の報告義務 | 2週間に1回以上の報告義務 | 義務なし |
契約期間 | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 | 制限なし |
このように、種類によって特徴が異なります。
一方で一般媒介契約は、他社との契約や買主の自己発見取引が可能であり、契約期間に制限もありません。
このように、媒介契約は種類によってメリットやデメリットが異なるため、契約前にしっかり理解しておくことが大切です。
媒介契約について詳しく知りたい方は「媒介契約とは?種類や注意点などを初心者でもわかりやすく解説!」をご覧ください。
専属専任媒介契約とは
専属専任媒介契約とは、1社のみに依頼して買主探しや広報活動まで一任する契約です。
複数の不動産会社へ依頼してはならず、自分で買主を見つけるのも禁止されています。
売主からすれば不動産取引をすべて不動産会社へ任せられるため、初心者の方や手間をかけたくない方におすすめの契約です。
再度、専属専任媒介契約の特徴を確認しておきましょう。
専属専任媒介契約 | |
---|---|
他社との契約 | × |
買主の自己発見取引 | × |
REINSへの登録義務 | 契約から5日以内(休業日を含まない) |
業務報告義務 | 1週間に1回以上の報告義務 |
契約期間 | 最長3ヶ月 |
次に、専属専任媒介契約のメリットとデメリットを解説します。
専属専任媒介契約のメリット・デメリット
専属専任媒介契約のメリットとデメリットは以下のとおりです。
- メリット①:不動産会社に売却を一任できる
- メリット②:積極的に売却活動してくれる
- メリット③:各社のサービスを受けられる
- デメリット①:担当者の力量に左右されやすい
- デメリット②:自分で買主を見つけられない
- デメリット③:途中で解約できない
それぞれを理解してから契約するかどうか判断しましょう。
メリット①:不動産会社に売却活動を一任できる
専属専任媒介契約は、1社のみと専属で契約するので売却活動を一任できます。
不動産売買は法律や税金などの専門的な知識が絡むため、一般の方には難しい取引です。
特に不動産売買が初めての方は、「ちゃんと売れるのかな」「トラブルにならないかな」などと不安に感じている方も多くいます。
その点、専属専任媒介契約なら、不動産売買のプロである不動産会社が最後までサポートしてくれるので安心して取引できるでしょう。
メリット②:積極的に売却活動してくれる
専属専任媒介契約は不動産会社側からすれば、専属で任せてくれるので他社に成約を取られる心配がありません。
一般媒介契約で売却活動を進めた場合、手間や時間をかけて買主を探したり広告を出したりしても他社に取られてしまう可能性があり、不動産会社からすればリスクが高いです。
それでも、専属専任媒介契約であれば他社に取られるリスクがないため、しっかりと広報活動を行い、成約に向けて積極的に活動してくれるのです。
メリット③:各社のサービスを受けられる
専属専任媒介契約は、専属で任せてもらう代わりに独自サービスを提供している企業があります。
例えば「三井のリハウス」では、以下のようなサービスを提供しています。
- 引っ越し
- 建物調査
- 土地調査
- リフォーム
- インテリアサービス
ほかにも、万が一買主が見つからなかった場合に不動産会社に買い取ってもらえる「買取保障」まで受けられます。
このように、不動産会社によっては多くのサービスを受けられるので、初めての方は専属専任媒介契約がおすすめです。
デメリット①:担当者の力量に左右されやすい
専属専任媒介契約を結ぶと、ほかの不動産会社に依頼できないだけでなく、自分で買主を見つけることもできません。
担当者に売却活動のすべてを任せるため、担当者の力量によって売却額や売却スピードが左右されるのです。
また、大手不動産会社だからといって担当者が必ず優秀とは限りません。
新人が付いたり会話が合わない担当者が付いたりする可能性もあるため、相性の良し悪しを見極めるのも大切です。
専属専任媒介契約を結ぶ際は不動産会社だけでなく、担当者の質もチェックしましょう。
デメリット②:自分で買主を見つけられない
専属専任媒介契約は前述しているとおり、自分で買主を見つけてはならず、不動産会社が見つけてきた買主と契約しなければなりません。
実際の媒介契約書にも記載されています。
万が一、相談せずに取引してしまった場合は、契約違反となり何らかのペナルティを受ける可能性があります。
自分の周りに物件を欲しがっている人がいないか確認してから専属専任媒介契約を結ぶのがよいでしょう。
デメリット③:途中で解約できない
専属専任媒介契約は3ヶ月間の契約期間があり、基本的に途中解除できないのがデメリットです。
媒介契約を変更したり、契約終了したりする場合は基本的に期間満了まで待たなければいけません。
勝手にほかの不動産会社に依頼などをしてしまうと、ペナルティを受ける場合もあるので注意しましょう。
専属専任媒介契約が向いている人
専属専任媒介契約は以下の人に向いています。
- 不動産会社にすべて任せたい人
- 売れにくい物件を売りたい人
- 早く売りたい人
どの媒介契約にしようか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
不動産会社にすべて任せたい人
専属専任媒介契約は、売却活動に関するすべてを不動産会社に任せたい人に向いています。
前述のとおり、専属専任媒介契約は広報活動から契約まですべてを不動産会社が行ってくれます。
「手間や時間をかけたくない」「初めてで不安だから任せたい」と思う方は依頼してみましょう。
売れにくい物件を売りたい人
売れにくい物件を売りたい人にも向いています。
一般的に、売れにくい物件とは主に以下をいいます。
【売れにくい物件】
- 駅から遠い
- 築古物件
- 事故物件
- 利便性が悪い
このような物件は需要があまりないため、買主が見つかりにくい傾向にあります。
それでも、専属専任媒介契約なら不動産会社が積極的に売却活動してくれるので、一般媒介契約や専任媒介契約と比べて買主が見つかりやすくなります。
築古物件や訳アリ物件などを売却したい方は、専属専任媒介契約が向いているでしょう。
早く売りたい人
専属専任媒介契約は、一般媒介契約や専任媒介契約と比べて不動産会社が積極的に動いてくれます。
成約するために物件の掲載情報を多くしたり、色々な媒体に物件を掲載したりしてくれます。
ほかの媒介契約よりも買主を見つけやすく、その結果早期売却につながりやすいといえるでしょう。
専属専任媒介契約の注意点
専属専任媒介契約について解説しましたが、契約時には以下の点に注意しましょう。
- 不動産会社選びは慎重に
- 囲い込みの可能性がある
不動産会社選びは慎重に
専属専任媒介契約は一度契約すると、基本的に契約満了まで解除できません。
また、1社のみにしか依頼できず、ほかの不動産会社と比較したりほかの不動産会社に変更したりするのも基本的に禁止されています。
そのため、不動産会社選びで失敗してしまうと、最大で3ヶ月間は依頼先の不動産会社のみに任せることになるのです。
また、質の悪い売却活動を続けていれば売却の長期化につながり、「売れ残り物件」のイメージが付く恐れもあります。
売れ残り物件のイメージが付いてしまうと買い手が現れにくくなるため、価格を値下げせざるを得なくなるかもしれません。
このように専属専任媒介契約を結ぶ際は不動産会社選びが非常に重要なため、実績や口コミなどをしっかり調べたうえで依頼しましょう。
囲い込みの可能性がある
仲介手数料が半額や無料の企業は囲い込みの可能性が高い
囲い込みの危険性についてお伝えしましたが、見分けるにはどうすればいいのか解説します。
最も多いものとして、「仲介手数料半額!」「仲介手数料が今だけ無料!」などの謳い文句には気を付けましょう。
仲介手数料を半額や無料にしてしまうのは、不動産会社にとって大きな痛手でありメリットはありません。
では、なぜ仲介手数料を安くするのか、それは以下の理由が考えられます。
つまり、囲い込みをして両手仲介で成約できれば、買主から仲介手数料を受け取れるので十分に利益が出るということです。
遠回しに「囲い込みしますよ」と言っているようなものなので、このような謳い文句には十分に気をつけましょう。
囲い込みを見破る方法
囲い込みかどうかを見破るためには、買主を装って問い合わせしてみましょう。
自分の物件に対して問い合わせをしてみて、「もうすぐ契約が決まりそうですので……」や「売主が出張中で……」などと言って来たら囲い込みの可能性は非常に高いです。
本来であれば専属専任媒介契約は、買主が現れたら依頼主へ報告しなければなりません。そして、上記が本当であれば依頼主へ伝わっているはずです。
しかし、依頼主へ伝わっていないにもかかわらず、「すでに成約している」などの内容を言ってくるのであれば、ほぼ確実に囲い込みしているといえます。
もし、自分で問い合わせるのがイヤなら友人や家族にお願いしてみましょう。そして、囲い込みを確認できたら契約満了後に不動産会社の変更を行いましょう。
買い手側はどの媒介契約がいいのか
専属専任媒介契約は、買主探しが必要となる「売主」が契約する形態であり、買主の場合は一般媒介契約がおすすめです。
買主は、物件を選ぶ側であり、物件選びは「ホームズ」や「SUUMO」などのポータルサイトでだれでも簡単に探せます。
物件探しは不動産ポータルサイトやチラシなどで簡単に探せますが、買主探しはそうはいきません。
親戚や友人などで買いたいと言ってくれる人がいれば別ですが、基本的に物件情報を宣伝して探す必要があります。
一般の方が買主を見つけるにはハードルが高く、物件探しよりも難しいです。
このことからも、売主は専属専任媒介契約、買主は一般媒介契約がおすすめといえます。
まとめ:専属専任媒介契約は初心者におすすめな契約
専属専任媒介契約について解説しました。
最後にまとめて確認しましょう。
- 不動産会社に売却活動を一任できる
- 積極的に売却活動してくれる
- 他社と比較したり自分で買主を見つけたりできない
- 囲い込みのリスクがある
- 買い手は一般媒介契約がおすすめ
専属専任媒介契約は、1社のみと契約するだけでなく買主探しも禁止されている縛りの強い契約です。
不動産会社へ売却活動のすべてを任せることになるため、不動産会社選びや担当者選びが非常に重要です。
よく考えずに契約してしまうと売却の長期化につながり、最悪の場合は価格を値下げせざるを得なくなるかもしれません。
専属専任媒介契約を結ぶ際は、事前に不動産会社の実績や担当者の質や相性などをよく吟味したうえで依頼することが大切です。