- 不動産買取の相場はどれくらい?
- 仲介より安くなるのはナゼ?
- 高く買い取ってもらうコツを知りたい!
不動産買取は、不動産会社へ物件を直接買い取ってもらう売却方法ですが、相場を理解していない人も少なくありません。
そこでこの記事では、不動産買取相場や仲介より安くなる理由を、宅建士である私がどこよりも分かりやすく解説します!
この記事を読めば、「なぜ仲介より安いのか」「不動産会社側では何が行われているのか」まで理解できます。



不動産買取相場は仲介価格の7~8割程度
不動産買取の価格相場は、仲介価格の7~8割が目安です。
▼仲介より安い理由
不動産会社が物件を買い取った後、リフォームや再販を行い利益を得るため、仕入れ価格を抑える必要があるから
例えば、市場価格が3,000万円の物件の場合、買取価格は2,100万~2,400万円程度となります。
買取は迅速な売却が可能で、周囲に知られずに手続きが進められるなどの利点がありますが、売却価格が低くなる点には注意が必要です。



不動産買取相場が仲介価格よりも安いのはなぜ?
不動産買取相場が仲介価格よりも安いのには、以下の理由があります。
再販のための費用が差し引かれるから
不動産会社は不動産を買い取った後にリフォームやリノベーションをおこない、再販して利益を得ています。
しかし、リフォームやリノベーションには費用がかかるため、それらの作業にかかる費用を差し引いたうえで買い取っています。
また、再販時には広告宣伝費や人件費などの諸費用も発生するため、それらの費用も考慮したうえで買取価格を決定しているのです。



再販リスクを考慮しているから
再販は費用がかかるだけでなく「本当に売れるのか」というリスクも考慮されています。
例えば、買い取った不動産をリフォームしてから再販した場合でも必ず売れるとは限りません。
また、売れなければ赤字となるため、不動産会社にとっては大きな痛手です。



そのため、再販リスクを考慮したうえで買取価格を決定しているケースが一般的です。
特に、地方の不動産や訳アリ不動産は買い手が付かない恐れがあるため、買取相場よりもさらに安く見積もられる可能性があります。
仲介手数料を得られず、利益が出にくいから
不動産会社にとって「買取」は、仲介手数料を得られないため、仲介よりも利益を上げにくいのが特徴です。
具体的には、仲介の場合、不動産会社は売主と買主の間に立ち、取引が成立すると双方から仲介手数料を受け取ります。
その結果、不動産会社は物件の再販で利益を得る必要があり、購入時の価格を市場価格より低く設定します。
これにより、買取価格は仲介による売却価格の7~8割程度になるのです。


仲介価格より安い「不動産買取」を選択するメリット
不動産買取は仲介よりも安く売れる傾向があるとお伝えしましたが、以下のようなメリットもあります。
それぞれを詳しく解説します。
買主探しの手間がかからない
仲介の場合、個人の買主を見つけるために広告を出したり内覧の対応をしたりと、多くの時間と労力が必要です。
一方、不動産買取では、不動産会社が直接買い取るため、これらの手間が一切かかりません。
早ければ1~2週間前後で買取してもらえるため、「すぐに売却したい」という方は不動産買取がピッタリと言えます。
早く現金化できる
前述のとおり、不動産買取は買主探しが必要ないため、仲介よりも早く売れます。
その結果、不動産を早期に売却でき、仲介よりも早く現金化できます。
具体的には、仲介の場合であれば3~6ヵ月ですが、買取なら2週間~1ヵ月前後で売却できるケースが多いです。



近隣住民に知られずに売却できる
買取では、物件の広告やチラシ配布が不要なため、近隣住民に売却を知られる心配がありません。
仲介の場合、不動産会社の担当者が査定に来たり、購入希望者が内覧に来たりするため、近隣住民に知られる可能性があります。
周囲に知られると悪い噂が広まるリスクもあるため、あまり知られずに売却したい人には特におすすめです。
契約不適合責任のリスクがない
【契約不適合責任とは】
売却した物件が契約内容と異なる場合に、売主が修理や代金の減額、損害賠償などの責任を負うこと
売買契約において、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときに、売主に発生する責任。
引用:東京都住宅政策本部「契約不適合責任に係るトラブルについて」



しかし、買取では不動産会社が買主であるため、買取前の段階で物件の状態を適切に把握していることが一般的です。
そのため、売主が契約不適合責任を問われる可能性は低くなります。
ただし、売主が物件の重大な欠陥を故意に隠した場合などは、責任を問われることがあるので注意しましょう。
不動産買取のデメリット
不動産買取には以下のデメリットもあります。
市場価格よりも安い売却額になる
不動産買取の価格は、市場価格の7~8割程度まで安くなります。
例えば、仲介価格3,000万円の場合は、2,100~2,400万円が売却価格となります。
【安くなる理由】
不動産会社が物件を買取後、リフォームやリノベーションを行い、再販売する際の費用やリスクを考慮しているため
不動産会社は買い取った不動産を再販して利益を得ます。しかし、再販が失敗すると赤字となるため、その分のリスクや再販におけるリフォーム費用が考慮されているのです。
高く売却したいと考えている方にとっては大きなデメリットとなるでしょう。
交渉の柔軟性が低い
不動産会社は、物件を再販するリスクやコストを考慮し、あらかじめ低めの価格を提示することが一般的です。
そのため、売主が希望する価格を反映させるのが難しいです。
特に、物件の状態や市場の需要に関わらず、不動産会社側の基準で価格が決定されるため、個別の事情を考慮した価格設定が難しくなります。
仲介であれば一般の買主が取引相手となるので価格交渉しやすくなりますが、買取は不動産会社が取引相手のため、交渉しにくくなります。



買取に対応していない不動産会社がある
一部の不動産会社では、不動産買取に対応していないケースがあります。
仲介であれば基本的にどの不動産会社でも対応していますが、不動産買取は再販して利益を得る事業のため、事業自体を行っていない会社も少なくありません。
そのため、「近所の不動産会社に相談したけど対応していなかった」などのケースもあります。
不動産買取は仲介よりも対応している不動産会社が少ないため、事前に確認しておきましょう。
【2025年最新】実際の不動産買取相場
2025年最新の不動産買取相場をご紹介します。
実際の成約価格をエリア別や築年数別でまとめているので参考にしてみてください。
一都三県の買取相場
一都三県の買取相場をご紹介します。
以下は、「公益財団法人 東日本不動産流通機構」が公表している、2024年12月時点の戸建て成約価格を表したものです。
都道府県 | 成約価格(万円) | 推定買取価格(万円) |
---|---|---|
東京都 | 5,753 | 4,027 |
埼玉県 | 2,613 | 1,829 |
千葉県 | 3,053 | 2,137 |
神奈川県 | 4,467 | 3,127 |
参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「月 例 速 報2024(令和6)年12月度 Market Watch〔全国版〕」
推定買取価格を見ると、東京都が約4,000万円と最も高く、次に神奈川県、千葉県と続いています。
成約価格が高いほど買取価格との差が大きく、東京都は約1,700万円もの差があります。
売却方法が違うだけでここまでの差が出るため、買取を検討している方は、「本当に買取でいいのか」とよく考えたうえで行動した方がよいでしょう。
築年数による買取相場
次に築年数ごとの買取相場をご紹介します。
以下は、「公益財団法人 東日本不動産流通機構」が公表している「中古戸建ての築年数別成約価格」です。
築年数 | 成約価格(万円) | 推定買取価格(万円) |
---|---|---|
築0~5年 | 5,021 | 3,515 |
築6~10年 | 4,733 | 3,313 |
築11~15年 | 4,573 | 3,201 |
築16~20年 | 4,271 | 2,990 |
築21~25年 | 3,919 | 2,743 |
築26~30年 | 3,496 | 2,447 |
築31~35年 | 2,770 | 1,939 |
築36~40年 | 2,763 | 1,934 |
築41年~ | 2,071 | 1,450 |
参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」
築年数が経過するほど成約価格が低下しているのが分かります。
特に、築41年以降の成約価格は築0~5年と比べて約3,000万円も低下しています。
買取相場で言えば約1,500万円であるため、高く売るのは非常に難しいと言えるでしょう。
特に都心部は土地価格が高い傾向があるため、高額売却できる可能性も十分にあります。
一つの指標として参考程度に捉えましょう。



不動産買取相場を調べる方法
不動産買取相場をご紹介しましたが、より詳細に調べるためには以下の方法がおすすめです。
過去の取引事例を調べる
過去の取引事例を調べることで、実際にどの程度の価格で売却したのか参考にできます。
具体的には、国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ」や「レインズマーケットインフォメーション」などの公的なデータベースを活用します。
これらのサイトでは、取引時期、物件の種類、地域などの条件を指定して、実際の取引価格や物件の詳細情報を検索できるのでおすすめです。
画像引用:不動産情報ライブラリ
画像引用:レインズマーケットインフォメーション
検索する際は、自身の物件と似た条件の取引事例を探すことで、買取相場の目安を把握できます。
不動産ポータルサイトで実際の売り出し物件を参考にする
SUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトで、自分の物件と似た地域や条件の物件を探してみましょう。
探す際は以下の条件を指定したうえで検索するのがコツです。
- 最寄り駅
- 駅からの距離
- 広さ
- 築年数
- 間取り
ただし、掲載されている価格は売主の希望価格であり、実際の成約価格とは異なる場合があります。
また、仲介での売り出し価格であり、実際の買取価格となれば7~8割程度になります。
不動産一括査定サイトを利用する
【不動産一括査定サイトとは】
物件の基本情報を入力するだけで、複数の不動産会社から査定結果を一度に受け取れる査定方法
不動産一括査定サイトを活用すれば、各社の提示価格を比較でき、相場を把握しやすくなります。
また、査定を依頼したからといって、必ずしもその会社と契約する必要はありません。査定結果を参考に、自分に合った不動産会社を選べます。



一括査定については、「【初心者必見】不動産一括査定を実際にやってみた!6つのステップや注意点を解説」で詳しく解説しているので参考にしてみてください!
不動産買取相場よりも高く買い取ってもらうコツ
不動産買取相場よりも高く買い取ってもらうには以下のコツが重要です。
複数の不動産会社に査定を依頼する
複数の不動産会社へ査定依頼して、査定額や担当者の対応を比較するのがコツです。
特に不動産買取が初めての方は「この査定価格は正しいのか?」と疑問や不安を抱く可能性が高いです。
その点、複数社と比較すれば、おおよその買取相場を把握できるようになるため、安く買い取られるリスクを抑えられます。
査定が初めての方、査定額を比較したい方は一括査定サイトなどを活用して複数社へ査定依頼しましょう。



買取に強い不動産会社を選ぶ
不動産会社によって得意分野は異なります。
例えば、「買取実績は豊富だけど仲介実績が乏しい」などであり、その逆もあります。
そのため、依頼する際は不動産買取に強い不動産会社へ相談・依頼するのがおすすめです。
また、担当者の対応や買取までの期間なども比較したうえで、より質の高い不動産会社へ依頼することが高額買取りの重要なコツです。
【買取に強い不動産会社の見分け方】
- ホームページ上の「過去の買取実績」が豊富
- 利用者の買取に関する肯定的な口コミが多い
- 買取から再販までのプロセスが具体的で明確になっている
- 仲介よりも買取を強調している



買取のタイミングを見極める
不動産買取は、不動産会社が買い取った後にリフォームなどをして再販しますが、時期やタイミングによって売れやすさが異なります。
例えば、3月は年度末であり、新年度に向けて引っ越しをする人が増えるため、不動産売買の需要が増す時期です。
※公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート2024 年12月度」をもとに作成
そのため、11~12月の年末、もしくは年明けの1月頃に買取を依頼すると高額で買い取ってもらえるかもしれません。



逆に1月や5月、8月は閑散期となるため、積極的に買い取ってもらえない可能性があります。
高額買取りしてもらいたいのであれば、漠然と買取依頼するのではなく、時期やタイミングを考慮したうえで依頼しましょう。
不動産買取相場に関するよくある質問
不動産買取相場に関するよくある質問をご紹介します。
買取を検討している方は参考にしてみましょう。
不動産買取は仲介手数料がかかりますか?
不動産会社が直接買主となるため、仲介業務が行われないからです。
一方、買主を探すために不動産会社に仲介を依頼する場合、仲介手数料が必要です。
売却の費用を少しでも抑えたい方は、仲介よりも買取の方が向いています。


不動産買取はどのような人におすすめですか?
以下のような人におすすめです。
- 早く現金化したい人
- 周囲に知られずに売却したい人
- 物件の状態が良くない人
- 売却活動の手間を省きたい人
不動産買取は、仲介のような「買主探し」が不要なため、早く売却できるのが特徴です。そのため、早く現金化したい人に向いています。
また、広告を出さずに売却できるため、近隣や知人に知られる心配がありません。
さらに、老朽化や修繕が必要な物件でも、そのまま買い取ってもらえる場合があります。
ほかにも、内覧対応や価格交渉などの手間を避け、スムーズに売却したい方にも適しています。
価格以外に仲介との違いはありますか?
仲介と買取は、価格以外にも以下の違いがあります。
主な違い | 詳細 |
---|---|
売却相手の違い | 仲介:一般の買主に売る 買取:不動産会社に売る |
売却期間の違い | 仲介:3~6ヵ月 買取:2週間~1ヵ月 |
手間の違い | 仲介:内覧対応、広告活動などが必要 買取:不要 |
秘密保持の違い | 仲介:広告活動するから周囲に知られやすい 買取:広告活動がないから知られにくい |
これらの違いを踏まえ、自身の状況や希望に合わせて適切な売却方法を選択しましょう。


まとめ:不動産買取相場を把握して高額売却を成功させよう!
不動産買取相場や買取価格が安い理由を解説しました。
不動産買取は、不動産会社へ直接売却する方法であり、不動産会社は買い取った物件を再販して利益を得ています。
しかし、再販にはリスクがあり、リフォームなどのコストなどもかかります。そのため、市場価格の7~8割程度の価格で買い取るのが一般的です。
仲介よりも安く売れるため、「高く売りたい」と思っている方には向いていないといえます。
それでも、不動産会社選びのコツや適切な売却時期を判断できれば、買取相場よりも高く売れる可能性があります。
また、仲介よりも早く売れるため、「今すぐ現金が欲しい」という方にもおすすめです。
不動産買取を検討している方は、ぜひこの記事を参考にして不動産買取を進めてみましょう!

