- 訪問査定ってどんな査定方法?
- 机上査定とどっちがいいんだろう……
- 訪問査定時に見られるポイントを知りたい!
一戸建てを売却する際は、不動産会社の訪問査定を受けるのが一般的ですが、仕組みや特徴を理解せずに依頼してしまう人も少なくありません。
訪問査定の意味や仕組みを事前に理解しておけば、高額査定を受けられて高値で売却できる可能性が高くなります。
そこでこの記事では、訪問査定の意味や査定時に見られるポイントなどを詳しく解説します。
この記事を読めば、訪問査定を受けるメリットや査定時に失敗しないためのコツなどがすべてわかります。
訪問査定を依頼するかどうか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
訪問査定とは
訪問査定とは、不動産仲介会社の担当者が実際に物件へ出向き、物件状態の確認や隣地との境界線、所有者とのヒアリングなどを細かくチェックしたうえで査定してくれる方法です。
担当者が実際に目で見て査定してくれるので、比較的精度の高い査定を受けられるのが特徴です。
不動産会社のホームページから依頼できるほか、電話で問い合わせたり直接店舗を訪れたりして依頼できます。
訪問査定と机上査定の差
訪問査定と机上査定の差や違いを解説します。
それぞれの査定方法の特徴を以下にまとめました。
訪問査定 | 机上査定 | |
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査定方法 |
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査定額の違い |
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査定方法の違い
査定方法の違いは、「担当者が実際に物件を訪問するかしないか」です。
訪問査定は担当者が実際に訪問して、物件の状態や周辺環境などを自分の目で見て査定します。
一方で机上査定は、売主から提示された「所在地」「築年数」などの物件条件のみを参考に査定します。
その点、訪問査定は実際の劣化状況や設備の有無などの細かい点まで加味したうえで査定されるため、査定精度が高くなります。
査定額の差
訪問査定と机上査定における査定額は、状況によっては大きな差が出るケースがあります。
特に古い家の場合は、劣化が進んでいたり設備が古かったりするため、実際に目で見ないと判断できない要素が多くあります。
また、不動産会社によっても査定の精度が異なるため、同じ物件でも100万円近くの差額が出るケースも少なくありません。
机上査定の査定額を鵜呑みにして売却活動を進めてしまうと、思うように買い手がつかない可能性もあるので、机上査定と訪問査定の両方を受けるのがよいでしょう。
訪問査定は不動産のどこを見るのか
訪問査定時は不動産のさまざまな箇所を見られますが、主に見られるポイントは以下のとおりです。
それぞれのポイントを詳しく解説します。
築年数がどれくらい経過しているのか
建物の築年数は査定額に大きく影響するポイントです。
一般的には、築年数が経過するほど建物の価格は減少します。建物には耐用年数が設定されており、建物構造によって以下のように耐用年数が異なります。
建物構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート | 47年 |
例えば、木造建物の耐用年数は22年ですが、22年かけて減価償却していき、築22年を迎えると建物の価値がゼロになります。
この耐用年数の関係で、訪問査定時には建物の築年数がチェックされるということです。
ただし、築22年を超えているからといって不動産全体の価値が0円となるわけではなく、土地の価値を合わせた価格で査定されます。
土地には耐用年数が設定されていないので、人気エリアなどの需要のある土地であれば古い家でも高値で売れる可能性があります。
需要のある間取りか
需要のある間取りであれば査定時にプラスな評価をされます。
基本的に間取りが広いほど査定額は高くなる傾向にありますが、「その地域の特性に合っているかどうか」も査定時に見られます。
例えば、ファミリー層が多いエリアでは3LDKや4LDKなどの間取りが人気であり、査定時にもプラス評価をされます。
しかし、1DKや1LDKなどの間取りであればファミリー層にとっては狭すぎるケースが多く、買い手の需要がないと判断されてしまうのです。
このように、間取りは「広ければいい」というわけではなく、その地域に合っているかどうかまで見られることを理解しておきましょう。
設備は充実しているか
設備の充実さも査定時に見られるポイントです。
エアコンや給湯器などの基本設備はもちろん、システムキッチンや床暖房などの設備が備わっていると査定時にプラス評価をされる可能性が高くなります。
また、設備が最新のものであればより評価されるため、相場よりも高い査定額を提示してくれるかもしれません。
利便性に優れているか
利便性が優れているかどうかも査定額に大きく影響するポイントです。
利便性とは主に以下のようなポイントをいいます。
- 通勤や通学に便利な立地か
- 周辺にスーパーやコンビニなどがあるか
- 病院や役所などが近くにあるか
最寄り駅からの距離が近ければ通勤や通学に便利であり、多少建物が古くても買い手が付きやすくなるので査定額によい影響を与えます。
また、周辺にスーパーやコンビニなどがあれば買い物しやすくなるため、同様にプラス評価をされます。
このような利便性の優れている家の場合、築年数が経過した古い家でも相場より高く売れる可能性があるので、訪問査定時は担当者にアピールしましょう。
治安は良いか
治安の良し悪しも査定時に見られるポイントです。
買い手は治安のよい場所に住みたいと思うのが一般的であり、いくら建物が新しかったり利便性がよかったりしても周辺の治安が悪ければ買い手は現れにくいです。
昼間は閑静でも夜になると治安が悪くなるエリアもあるため、昼と夜とでどれくらい治安が異なるのか査定を受ける前に確認しておくのがよいでしょう。
将来性のある立地か
将来性のある立地かどうかも査定時に見られるポイントです。
将来性のある立地とは以下のような土地をいいます。
- 数年以内に新駅が設立される予定
- ショッピングモールなどの大型施設が建てられる予定
- 球場やスタジアムなどの施設が建てられる予定
上記のようなケースの場合、そのエリアの需要が高くなる可能性が高いため、土地の価値も大幅に上昇するかもしれません。
周辺で商業施設や大型マンションなどの建設が予定されていれば、相場よりも高く売却できる可能性が高いのでチェックしておきましょう。
訪問査定を受けるまでに準備しておくべき4つの書類
訪問査定を受ける際は以下の書類を準備しておきましょう。
必須書類と任意書類があるので、書類の意味や取得方法を解説します。
【必須】本人確認書類
まずは本人確認書類を準備しましょう。本人確認書類は主に以下の書類などが該当します。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 在留カード
- 身体障害者手帳
- 特別永住者証明書
訪問査定時に家の所有者と同じかどうか確認されるので、事前に準備しておきましょう。
【必須】登記識別情報通知書・登記事項証明書
登記識別情報通知書とは、不動産の名義人や権利人などを証明する書類です。
画像引用:法務省「登記識別情報通知」
「登記識別情報」は、12桁のアラビア数字や符号から組み合わされており、不動産の登記情報を証明する非常に重要な情報です。
登記識別情報通知書の入手方法 | |
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登記完了後に登記所から発行されます |
※ただし、登記識別情報通知書は再発行できないため、もし紛失してしまった場合は「登記事項証明書」でも代用できます。
【任意】確定測量図、建物図面
確定測量図とは、土地の面積や境界線などを証明する書類です。
画像引用:土地家屋調査士法人えん 公式ブログ
訪問査定時は自分の家だけでなく、隣地との境界が明確になっているかどうかも見られます。
もし境界が曖昧だと売却後に買主と隣地所有者との間でトラブルに発展する恐れがあるため、境界が明確になっていないとマイナス評価をされてしまいます。
確定測量図の入手方法 |
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土地の境界が明確になっていない場合は土地家屋調査士へ依頼して測定してもらう |
また、建物図面も準備しておきましょう。建物の面積や構造、間取りなどが書かれている図面であり、図面一つで家の全体像が把握できます。
査定をスムーズに進めるためにも準備しておきましょう。
【任意】公図
公図とは、エリア周辺の土地の価格や形状などを示した書類です。
公図があれば、土地の地番や接道状況などが把握できるため、土地の価値や価格を査定しやすくなります。
公図の入手方法 |
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・法務局の窓口で申請する ・法務局の公式サイトからダウンロードする |
もし手元にない場合は、訪問査定時に担当者が接道状況を調査してくれるので問題ありません。
訪問査定における不動産会社選び5つのコツ
訪問査定を依頼する際の不動産会社選びのコツをご紹介します。
どの不動産会社へ依頼するか悩んでいる方は参考にしてみてください。
売却実績が豊富な不動産会社へ依頼する
最もおすすめする方法は、売却実績が豊富な不動産会社へ依頼する方法です。
不動産会社によって取引件数や査定件数、売上高などが異なり、査定に関する実績やノウハウもさまざまです。
売却実績が豊富な不動産会社であれば、これまでの査定実績を活かして正確な査定をしてくれるでしょう。
どの不動産会社へ依頼するか決め切れない方は、これまでの売却実績を参考に決めてみましょう。
【不動産会社選びで特に重要な3つのポイント】
- 売却実績
- サービス内容
- 利用者の口コミ
大手と中小それぞれに依頼する
不動産会社へ依頼する際は、大手と中小の両方に依頼しましょう。
大手と中小の不動産会社ではそれぞれで特徴が異なり、両方に依頼した方がより良い査定を受けられます。
大手不動産会社 |
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中小不動産会社 |
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大手は、CMや広告などでも知られている企業が多く、実際に取引する人が数多くいます。そのため、売却実績も豊富で信頼できるのが特徴です。
一方で中小は、大手ほどの知名度はないものの、地域に特化した事業を展開しており、その地域ならではの情報や特性を理解しているのが特徴です。
このように、大手と中小にはそれぞれの良さがあり、どちらか一方のみに依頼するだけでは正確な査定額を把握できない可能性があります。
訪問査定を依頼する際は、大手と中小の両方に依頼しましょう。
大手と中小それぞれ3社ずつ依頼するのがおすすめ!
不動産会社の得意分野を理解しておく
不動産会社の得意分野を理解しておくことも大切です。
不動産会社によっては、得意・不得意なジャンルがある企業が存在します。
- 一戸建て売却が得意
- マンション売却が得意
- 土地に関しては不得意
- 関東圏以外の物件売買は不得意
このように、不動産ジャンルやエリアなどで得意・不得意が分かれます。
しかし、不動産売却が初めての方は「大手ならどこでも変わらないんじゃない?」と思う方も多く、あまり調べずに依頼してしまうケースもあります。
それでも実際は、上記のように得意・不得意なジャンルで分かれるため、一戸建て売却を検討している方は「一戸建ての売却実績が豊富な不動産会社」へ依頼するのがよいでしょう。
【一戸建て売却実績が豊富な不動産会社】
- 三井のリハウス
- 東急リバブル
- すみふの仲介ステップ(住友不動産販売)
担当者の質にも注目しておく
不動産会社へ依頼する際は担当者の質にも注目しましょう。
信頼できる不動産会社へ依頼したとしても、担当者まで信頼できるかどうかはわからないからです。
特に大手不動産会社は毎年多くの社員を雇っているので、必ずしも経験豊富な担当者がつくとは限りません。
担当者の質が悪ければスムーズに売却できない恐れもあるので、不動産会社選びの際は担当者の質にも注目しておきましょう。
【担当者を見極める4大チェックポイント】
- 業界歴
- 宅建士資格の有無
- 態度や言動
- 知識の有無
買取りにも対応しているか確認しておく
依頼する不動産会社は、不動産買取まで対応しているか確認しておきましょう。
万が一売り出しても売れなかった場合、不動産会社に買い取ってもらえるからです。
買取りは、仲介のように買主を探したり契約したりする手間がかからないため、すぐに売却できるのが特徴です。
ただし、買取に対応していない不動産会社も多くあるため、依頼前に確認しておきましょう。
【不動産買取のマメ知識】
- 買取り価格は仲介価格の7~8割程度
- 物件の状態にかかわらず買い取ってくれる
- 事故物件でも買い取ってくれる場合がある
- すぐに現金化したい人におすすめ
訪問査定を受ける際に絶対に知っておきたいポイント4選
訪問査定を受ける際は以下のポイントを知っておくと、より良い査定を受けられます。
依頼前に自分で売却相場を調べておく
訪問査定を依頼する前に自分で売却相場を調べておきましょう。
相場を調べておくことで、不動産会社が提示した査定額が適正かどうか判断しやすくなります。
例えば、家を売るのが初めての場合、査定額を提示されても「この価格って高いの?低いの?」と疑問に感じるでしょう。
もし、疑問を抱えたまま進めてしまうと、想定していたよりも安く売却する恐れがあります。
むしろ、売主と契約するために故意に高い査定額を提示する不動産会社も存在します。
このように、自分で売却相場を調べておくことは売却を成功させるために非常に大切なので、訪問査定を依頼する前に調べておきましょう。
なお、自分で調べる方法は「不動産価格を自分で調べる方法4選!」をご覧ください。
【自分で売却相場を調べる方法】
- 「SUUMO」「ホームズ」などで売り出し物件を参考にする
- レインズ・マーケット・インフォメーションで調べる
- 不動産情報ライブラリで調べる
詳しくは詳細記事まで!
査定額の根拠を聞く
査定額を提示されたら、査定額の根拠を担当者へ聞きましょう。
査定額の算出方法は不動産会社によっても担当者によっても異なるからです。
「なぜこの価格になったのか」をハッキリと説明できなければ、曖昧に査定している可能性があると判断できます。
特に、新人や経験の浅い担当者の場合は根拠が明確になっていないケースがあるので、必ず聞いておきましょう。
希望条件を伝える
自分が思う希望条件を担当者へ伝えましょう。
- いくらで売りたいのか
- いつまでに売りたいのか
- 高く売りたいのか
- 早く売りたいのか
不動産売却といっても売る人によって目的が異なるため、自分の思いをハッキリと伝えましょう。
担当者としても売主の目的がわかれば、査定額を合わせやすくなるのでスムーズに査定を進められます。
漠然と依頼するよりもできるだけ具体的な目的を持ったうえで依頼しましょう。
【希望条件の例】
- 3,000万円で売りたい
- 3ヶ月以内に売って現金化したい
- 3ヶ月以内で売れなければ最長で6ヶ月まで伸ばせる
- それでも売れなければ2,500万円でもよい
- 最悪は買取りでもよい
複数の不動産会社へ依頼して査定額を比較する
訪問査定を依頼する際は、複数の不動産会社へ依頼しましょう。
複数の査定額を比較できるので、査定額の基準がわかりやすくなります。
前述のとおり、査定額は不動産会社によって異なるため、1社だけではその査定額が適正かどうかの判断がつきにくいです。
それでも、複数の査定額を比較すれば、おおよその査定額を把握できるようになります。
大手と中小合わせて3~5社程度に依頼してみましょう。
訪問査定に関するよくある質問
訪問査定に関するよくある質問をご紹介します。
訪問査定に関して抱きやすい疑問や不安を参考にしてみてください。
Q:訪問査定前に掃除しておくべき?
掃除の有無はそこまで査定額に大きく影響しません。仮に散らかっていたとしても、部屋が綺麗な状態を想定して査定してくれます。
ただし、足の踏み場もないほど散らかっていたり汚れていたりすれば査定額に悪い影響を与える可能性があります。
Q:「査定額=売れる価格」と思っていい?
査定額は、あくまでも担当者が算出した予想売却価格であり、必ずその価格で売れるとは限りません。
査定額を鵜呑みにしてしまうと、いつまでも売れない可能性もあるので、あくまでも予想価格であることを理解しておきましょう。
Q:訪問査定の流れは?
- 査定依頼
- 現地に訪れて査定
- 担当者が物件情報を持ち帰る
- 1週間前後で査定額が届く
担当者が実際に査定する時間は1~2時間程度のため、時間に余裕のあるタイミングで依頼しましょう。
まとめ
訪問査定の意味や見られるポイントなどを解説しました。
訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に家を訪れて査定する方法で、机上査定よりも精度の高い査定を受けられるのが特徴です。
また、査定を受けるには「登記事項証明書」「本人確認書類」などの書類が必要なので事前に準備しておきましょう。
訪問査定を受けることで、より具体的な価格が把握できるので売却意欲の高い方におすすめの査定方法です。
一戸建ての売却を検討している方は、ぜひこの記事を参考に訪問査定を依頼してみましょう!