- 宅建士じゃない人が重要事項説明するとどうなるの?
- 担当者が宅建士かどうかの確認方法は?
- 宅建士じゃない人が説明するとどんなトラブルになる?
不動産売却を検討している方でこのような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
重要事項説明は、売主側の担当者が不動産に関する重要な事項を買主に対して説明する行為ですが、そのルールを理解していない人も少なくありません。
そこでこの記事では、宅建士じゃない人が重要事項説明するとどうなるのか、違法性について詳しく解説します。
重要事項説明を控えている方、重要事項説明の意味を知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
重要事項説明を宅建士じゃない人が行うとどうなる?
重要事項説明を宅建士じゃない人がおこなうと以下のようなリスクがあります。
- 契約が無効になる可能性がある
- 契約後にトラブルが発生する可能性がある
これらを理解していないと取り返しのつかない事態にもなりかねないため、確認しておきましょう。
契約が無効になる可能性がある
宅建士じゃない人が重要事項説明をおこなうと契約が無効になる可能性があります。
これは、宅建業法で重要事項説明は宅建士がおこなうと定められているためです。
宅建業者は、売買・賃貸の契約が成立するまでの間に、書面を交付し、買主・借主に対し、取引主任者をして一定の重要な事項の説明をさせなければなりません(35条)。
引用:公益社団法人 全日本不動産協会「重要事項説明義務違反に対する監督処分」
宅建士以外の人が重要事項説明をおこなうと宅建業者は業務停止などの行政処分を受ける可能性があります。
しかし、契約自体の有効性については宅建業法では明確に規定されていません。そのため、契約が無効になるかどうかは個別の状況によります。
契約後にトラブルが発生する可能性がある
契約後にトラブルが発生する可能性があります。
資格のない人が説明をおこなうと、買主から「説明が不十分だった」と指摘され、契約解除や損害賠償を求められるリスクがあります。
また、重要事項説明に関する知識がなく、契約後にトラブルに発展する恐れもあります。
重要事項説明は宅建士じゃないと違法?
重要事項説明は宅建士じゃないと違法になるのか解説します。
法律上の観点や罰則について理解しておきましょう。
重要事項説明は宅建士でないと違法になる
重要事項説明は宅建士でないと違法になります。
宅建業法でも以下のように定められています。
Q:宅建業法35条に定められる重要事項説明を怠った場合、宅建業者は、宅建業法上、どのような責任を負うことになるのでしょうか。
A: 指示処分(宅建業法65条1項・3項。以下、単に条文を掲げるときは、宅建業法を指す)、又は、1年以内の業務の全部又は一部停止の処分(65条2項2号・4項2号)がなされ、さらに情状が特に重いときは免許の取消処分を受けることもあります(66条1項9号)。
引用:公益社団法人 全日本不動産協会「重要事項説明義務違反に対する監督処分」
このように、重要事項説明をしなかったり適切な方法で説明しなかったりすれば、指示処分や業務停止処分、場合によっては免許取消処分を受けます。
宅建士以外が説明した場合は罰則を受ける
宅建士以外が説明した場合、宅建士と宅建士が在籍する宅建業者の双方に罰則が与えられます。
どのような罰則を受けるのか確認しておきましょう。
宅建士への罰則
宅建士は、指導や業務停止などの処分を受ける可能性があります。
特に、説明をおこなわなかったり虚偽の説明をしたりした場合、業務停止処分が科されることがあります。
宅建業者への罰則
宅建業者は、監督官庁から指示処分や業務停止処分、さらには免許取消処分といった厳しい罰則が科されることがあります。
実際に、これらの罰則を受けた宅建業者は、国土交通省が運営している「ネガティブ情報等検索サイト」に乗せられます。
宅建業法違反により罰則を受けた全国の宅建業者を閲覧できるため、売主の方は参考にしてみましょう。
重要事項説明を宅建士じゃない人にされないためのポイント
重要事項説明を宅建士じゃない人にされないためには以下のポイントを押さえましょう。
- 宅建士資格の有無を確認する
- 信頼できる不動産会社を選ぶ
宅建士資格の有無を確認する
担当者が宅建士資格を持っているかどうか確認しましょう。
確認方法として宅建士証の提示があります。
宅建士は重要事項の説明時に、宅建士証を提示する義務があり、宅建業法でも以下のように定められています。
宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
引用:e-GOV法令検索「宅地建物取引業」
※「前三項」とは重要事項説明のこと
もし提示がない場合は、説明の前に必ず見せてもらうように依頼しましょう。
信頼できる不動産会社を選ぶ
信頼できる不動産会社を選ぶのも重要なポイントです。
悪質な不動産会社の場合、宅建士じゃない人が重要事項説明をするケースがあります。
近年は不動産会社の数が増加傾向にあり、今やコンビニよりも多くなっています。
適切に重要事項説明を受けるためにも、信頼できる不動産会社へ依頼しましょう。
重要事項説明を宅建士じゃない人が行った際のトラブル事例
重要事項説明を宅建士じゃない人が行った際のトラブル事例をご紹介します。
どのようなトラブルが起こるのか参考にしましょう。
- 物件の欠陥が説明されずトラブルに発展
- 契約が無効になる
- 買主の信頼を失う
- 行政指導や営業停止処分に巻き込まれる
- 説明不足によるクレームの発生
物件の欠陥が説明されずトラブルに発展
宅建士じゃない人が重要事項説明をしたことで、物件の欠陥が適切に伝えられず、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
例えば、物件に隠れた問題があったが事前に説明されなかった場合、入居者は予期せぬ不便や損害を被ることになります。
入居者からの信頼を失うだけでなく、法的な責任を問われることも考えられます。
そのため、重要事項説明は必ず資格を持つ専門家がおこない、物件の詳細を正確に伝えることが大切です。
契約が無効になる
宅建士じゃない人が重要事項説明をすると契約が無効になる可能性があります。
宅建業法では、重要事項説明は宅建士がおこなうと定められており、違反すると業務停止などの行政処分を受ける場合があります。
また、説明内容に誤りがあった場合、契約不適合責任として買主から損害賠償請求されたり契約解除請求されたりするケースもあります。
売主の責任でなくても契約が無効となる恐れがあるため、十分に注意しましょう。
買主の信頼を失う
買主の信頼を失うのもよくあるトラブル事例です。
資格のない人が説明すると、情報の正確性や信頼性に疑問が生じ、買主は「この取引は本当に安全なのか?」と不安を抱くでしょう。
その結果、契約をためらったり取引自体が中止になったりすることも考えられます。
売主と買主の信頼関係は不動産取引で非常に重要です。取引を成功させるためにも、この点はしっかり理解しておきましょう。
行政指導や営業停止処分に巻き込まれる
行政指導や営業停止処分に巻き込まれる可能性もあります。
宅建士じゃない人が重要事項説明をするのは宅建業法に違反するため、重要事項説明をした人や不動産会社に罰則が与えられます。
罰則を受けると適切に事業をおこなえなくなるため、売主と不動産会社の契約も取り消されてしまいます。
そのため、売主は再び不動産会社選びに逆戻りしてしまうでしょう。
説明不足によるクレームの発生
宅建士じゃない人が重要事項説明をおこなうと、説明が不十分になり買主からクレームを受ける場合があります。
例えば、物件の周辺環境や設備の詳細など、契約前に知っておくべき情報が正確に伝わらないと、入居後に「聞いていなかった」といった不満が生じる可能性があります。
状況によっては損害賠償請求や契約解除を求められるケースもあるため、売主の方は十分に気を付けましょう。
まとめ:重要事項説明を宅建士じゃない人が行うとトラブルに巻き込まれる可能性がある
重要事項説明を宅建士じゃない人がおこなうとどうなるのか解説しました。
重要事項説明は不動産取引において買主へ説明する重要な事項であり、宅建士の資格を持つ人のみが説明できます。
しかし、なかには宅建士じゃない人が重要事項説明をおこなう場合があり、トラブルに発展するケースも少なくありません。
宅建士じゃない人が重要事項説明をすると、不動産の重要事項を買主へ適切に説明できなかったり説明不足になったりする可能性があります。
状況によっては、買主から損害賠償請求や契約解除を求められるケースがあり、想定外のトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
売主は、担当者が宅建士の資格を持っているかどうか確認して、トラブルを未然に防ぐよう意識しましょう。