- 不動産の個人間売買ってどうなの?
- 不動産会社に依頼しなくて大丈夫かな……
- 個人間売買の魅力を教えて!
不動産の個人間売買を検討している方で、このような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
個人間売買とは、不動産会社を通さずに売主と買主が取引する手法であり、売買方法やリスクを理解していない人も少なくありません。
そこでこの記事では、不動産における個人間売買の注意点やリスクなどを詳しく解説します。
この記事を読めば、個人間売買ならではの魅力やリスクがすべてわかります。
自分の不動産を個人で売ろうとしている方は、ぜひ最後までご覧ください。
不動産売買は個人間でも手続きできる!
不動産売買は個人間でも手続きできます。
そもそも不動産の個人間売買とは、不動産仲介会社へ依頼せず、個人の売主と買主との間で取引される売買方法です。
法律の観点から見ても不動産の個人売買は何ら不当ではないため、一般の人同士で売買取引できるのです。
ただし、不動産の取引は高額になりやすく、契約書の作成や契約金の支払いなどさまざまな要素が絡むため、トラブルになる可能性が高いです。
次の章では、個人間売買の注意点について詳しく解説します。
不動産売買を個人間で手続きする際の注意点
不動産売買を個人間で手続きする際は以下の点に注意しましょう。
- 売買契約書を自分たちで作成しなければならない
- 相場からかけ離れた売却価格で取引してしまう
- 売買代金の支払いや物件の引き渡しがスムーズにおこわれない
- 売却後のトラブルに対応できない
売買契約書を自分たちで作成しなければならない
通常、売買契約書は不動産会社が間に入って作成しますが、個人間での取引ではそのサポートがありません。そのため、契約書を作成する際には、売買金額や物件の引渡し時期、支払い方法などの重要な内容を、法律に沿った形できちんと記載することが求められます。もし記載が不十分だと、後々「支払いがされない」「物件の引き渡しが遅れる」といったトラブルの原因になることもあります。
また、万が一の紛争に備えて、契約書は必ず両者が納得のいく形でサインし、コピーを保管しておくことも大切です。自分たちで契約を進める場合は、専門家のチェックを受けることを検討すると安心です。
相場からかけ離れた売却価格で取引してしまう
相場からかけ離れた売却価格で取引してしまう点にも注意しましょう。
相場より高すぎると買い手が見つからず、逆に安すぎると本来得られるはずの利益を逃してしまいます。特に個人間取引では、不動産会社が間に入らないため、適切な価格設定が難しくなります。誤った価格で契約してしまうと、後々「もっと調べておけばよかった…」と後悔するケースも少なくありません。
そのため、売却前に必ず周辺地域の取引相場を調査し、適切な価格を把握しておくことが重要です。無料で査定をしてくれるサイトや、不動産会社に相談するのも一つの手です。個人間だからこそ、事前準備をしっかり行い、失敗しないよう気をつけましょう。
売買代金の支払いや物件の引き渡しがスムーズにおこわれない
売買代金の支払いや物件の引き渡しの際にも注意が必要です。
個人間での不動産取引では、仲介業者がいないため、スケジュール管理や手続きのすり合わせが不十分になることが多いです。例えば、売買代金の支払いが遅れたり、物件の引き渡し日が双方の都合で変更されたりすることがあります。これらのトラブルは、後々の信頼関係に悪影響を及ぼすだけでなく、取引自体が成立しないケースも考えられます。
対策として、事前に契約書をしっかり作成し、支払い方法や引き渡し日を明確に決めておくことが重要です。また、司法書士など専門家に手続きのサポートを依頼することで、トラブルを防ぎやすくなります。安心して取引を進めるためにも、細かな取り決めを怠らないようにしましょう。
売却後のトラブルに対応できない
不動産売却後のトラブルに対応できないのも個人間売買ならではの注意点です。
売却後に「設備の故障が見つかった」「土地の境界が違っていた」などのトラブルが発生した場合、買主から責任を問われる可能性があります。
プロのサポートがないため、法律や契約書の知識が十分でないと、どこまで責任を負うべきか判断できず、結果として大きな負担を抱えることになることもあるでしょう。
個人間で売買をする場合は、事前にしっかりと契約内容を確認し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
不動産売買を個人間で手続きするメリット
不動産売買を個人間で手続きするメリットは以下のとおりです。
- 仲介手数料がかからない
- 契約内容を自由に決められる
- 不動産会社へ毎回連絡する必要がない
【メリット①】仲介手数料がかからない
不動産売買を個人間で行う最大のメリットは、仲介手数料がかからないことです。
通常、不動産を売買する際は不動産会社を通すことが多いですが、その際に発生するのが「仲介手数料」です。
これは、物件の売買価格によっては数十万円から100万円以上になることもあり、売主・買主にとって大きな負担になります。しかし、個人間で直接手続きを行えば、この仲介手数料を支払わずに済むため、総コストを抑えられます。
【メリット②】契約内容を自由に決められる
契約内容を自由に決められるのも個人間売買ならではのメリットです。
仲介での売却の場合は、不動産会社が用意した標準的な契約書に従うことが多いです。その点、個人間売買なら価格や引き渡し時期、修繕の範囲など細かな条件を柔軟に調整できます。
例えば、「引っ越し後に修繕費を一部負担する」などの独自の取り決めもできるため、双方にとってより納得のいく契約が可能です。また、交渉の結果、スムーズに取引が進むことも期待できるので、条件にこだわりたい人にはおすすめの方法です。
【メリット③】不動産会社へ毎回連絡する必要がない
不動産会社へ毎回連絡する必要がないのもメリットのひとつです。
不動産会社を通して物件を売買すると、契約内容の確認やスケジュール調整など、毎回不動産会社とやり取りをする必要があります。しかし、個人間で直接手続きを行う場合は、売り手と買い手の間で直接コミュニケーションを取れるので、不動産会社を介さずにスムーズに進めることができます。
たとえば、内見の日時調整や、価格交渉の相談なども、双方が直接話し合うことで、無駄な連絡が減り、よりスピーディに進められるのが大きなメリットです。そのため、個人間の取引を選ぶと、煩雑なやり取りを避け、取引をより効率的に進められる可能性があります。
不動産売買を個人間で手続きするケース
不動産売買を個人間で手続きするケースをご紹介します。以下のケースに該当する場合は個人間売買を検討しましょう。
- 親族・友人などとの売買
- 隣人との売買
- 持ち主と借主での売買
【ケース①】親族・友人などとの売買
親族・友人などとの売買の場合、信頼関係があるので個人間売買に向いています。
価格設定や契約条件について柔軟に話し合えるため、通常の仲介取引と比べて自由に取引できるのが特徴です。
全く知らない他人と取引するのと異なり、お互いに信頼関係があるからこそ「不動産売買」という高額な取引でも実現できるといえます。
【ケース②】隣人との売買
隣人との売買にも個人間売買が向いています。
隣人同士の場合、顔見知りや知人の関係になっているケースが多く、親族や友人との売買と同様に信頼関係が構築されている場合があります。
また、すでにお互いの生活環境や物件の特徴を知っていることが多く、契約内容や価格の交渉がしやすいという利点があります。
さらに、隣人の場合、物件の現況確認や立ち会いなども簡単に行えるため、売買手続きがスピーディに進みやすい点も魅力です。こうした理由から、隣人同士の不動産売買は、個人間での取引に適しているといえます。
【ケース③】持ち主と借主での売買
持ち主と借主との関係の場合も個人間売買が向いています。
例えば、あなたが所有している一戸建てを借主へ賃貸している場合に、借主にそのまま売却するケースです。
このケースの場合、借主はすでに売却物件に住んでいるため、物件の良さ周辺環境の特徴も理解しています。
また、長年「貸主・借主」の関係であった以上信頼関係が構築されている場合も多く、お互いにどのような人間なのか理解したうえで取引できます。
ケース①、②と違い、このケースはすでに住んでいる借主へ売却するため、トラブルなくよりスムーズな取引を実現できるでしょう。
不動産売買を個人間で手続きする流れ
不動産売買を個人間で手続きする際は以下の流れで進めます。
- 売却価格の決定
- 買主による売却価格や物件状態の確認
- 売買契約書の作成
- 売買契約の締結
- 売買代金の受け取り&物件引き渡し
- 所有権移転登記手続き
売却価格の決定
不動産を個人間で売買する際、まず最初に決めるべきなのが売却価格です。適正な価格を設定することでスムーズな取引につながり、トラブルを回避できます。
売却価格を決める際は、周辺の似た条件の物件の売り出し価格を調査しましょう。不動産ポータルサイトや実際に売りに出ている物件を参考にすると相場が把握できます。
ただし、相場よりも高すぎる価格を設定すると買い手が見つかりにくく、逆に安すぎると損をしてしまう可能性があります。
具体的な相場を把握するためにも、複数の売り出し物件情報をチェックしたり類似物件の売り出し価格を参考にしたりしましょう。
売却価格の決め方は「【初心者向け】不動産価格を自分で調べる方法4選!」で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
買主による売却価格や物件状態の確認
売却価格を決めたら、売却価格や物件状態を買主に確認してもらいましょう。
売却価格に関しては、自分が設定した価格で納得するかどうかを確認します。納得されない場合は値下げ要求される可能性があるため、あらかじめ値下げされることを見越して高めの価格に設定しておくのがコツです。
次に物件状態の確認ですが、買主に物件を内覧してもらいます。壁や床の劣化状況、設備の充実性、水回りの綺麗さなどを見られます。
この時点で劣化や損傷、設備不良などがあれば値下げを要求される可能性があるため、事前によくチェックしておくことが大切です。
売買契約書の作成
買主が物件に納得したら売買契約書を作成します。
売買契約書には、物件の詳細、価格、支払い方法、引き渡し日など、双方が合意した内容を明確に記載します。
特に注意すべきは、物件の状態や欠陥についての記載です。引き渡し後に欠陥や不具合が見つかった場合の対処を記載していないと、売買成立後にトラブルに発展する恐れがあります。
また、契約内容が法律に違反しないよう、契約書を作成する際は法的なチェックを行うか専門家に確認してもらうことをおすすめします。契約書の内容に不備があると取引後に紛争が起こる可能性があるため、細心の注意を払いましょう。
売買契約の締結
売買契約書を作成したら、買主と売買契約を締結しましょう。
契約書の内容をお互いにしっかり確認したうえで、相手に記名押印してもらいます。
特に、引き渡し後の不具合や欠陥に関する事項はトラブルへ発展する可能性が高いのでしっかり伝えておきましょう。
売買代金の受け取り&物件引き渡し
売買契約の締結が完了したら、売買代金の受け取りと物件の引き渡しです。
売買契約書の内容に基づいて、指定されたタイミングで売買代金を受け取ります。
次に、物件の引き渡しですが、これも売買契約に従っておこなわれます。
引き渡しの際には鍵の受け渡しだけでなく、所有権移転登記を確実に完了させる必要があります。この手続きが終わることで正式に新しい所有者に物件が移ります。
所有権移転登記は一般的には買主がおこなうため、売主は物件を引き渡して完了です。なお、抵当権が設定されていた場合は売主が抹消手続きをおこないます。
それぞれの登記については
所有権移転登記手続き
物件の引き渡しが完了したら所有権移転登記手続きをおこないます。
一般的には買主が手続きしますが、状況によっては売主がおこなうケースもあります。ただし、手続きは複雑なので司法書士などの専門家へ依頼するのが一般的です。
また、物件に抵当権が設定されていた場合は抵当権抹消手続きが必要です。これは売主が手続きしますが、所有権移転登記と同様に手続きが複雑なため、専門家へ依頼するのがよいでしょう。
不動産売買を個人間で手続きする際に必要な書類・費用
不動産売買を個人間で手続きするには、さまざまな書類や費用が必要です。
手続きするにあたって、どのようなものが必要なのか確認しておきましょう。
必要書類
個人間で手続きするには以下の書類が必要です。
- 登記識別情報通知書または権利証
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
- 固定資産税納付書
- 建築確認通知書
売主はこれらの書類が必要です。特に個人間売買は仲介会社を通さずに取引するため、準備不足によるトラブルも発生しやすいです。
また、書類によっては役所に行って申請しなければならないものもあるため、余裕を持って準備しましょう。
必要書類の意味や取得方法については、「【完全網羅】戸建て売却時に必要な書類20選!」で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
かかる費用
不動産の個人間売買では以下の費用がかかります。
費用名 | 金額の目安 |
---|---|
印紙税 | 1~10万円 |
抵当権抹消費用 | 3,000~4,000円 |
司法書士手数料 | 2万円前後 |
住宅ローン一括返済手数料 | 0~5万円 |
土地測量費 | 10~50万円 |
建物解体費 | 100~300万円 |
ハウスクリーニング費 | 4~10万円 |
引っ越し費用 | 10~20万円 |
必要書類の取得費 | 1,000~2,000円 |
このように不動産売買では多くの費用がかかります。
それでも、個人間売買では不動産会社への仲介手数料がかからないため、仲介依頼した場合と比べるとかなり安く抑えられます。
ただし、費用の種類や金額を把握しておかないと、想定以上の支出となる恐れがあるため、それぞれの費用の意味や金額を理解しておきましょう。
各費用については、「【費用一覧】不動産売却にかかる費用10選を一挙紹介!」で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
不動産売買を個人間で手続きすることに関するよくある質問
個人間での不動産売買に関するよくある質問をご紹介します。
個人間ならではのリスクや不安を参考にしてみましょう。
- 知り合いと土地の個人間売買するのは危険?
- 個人間売買でも課税される?
- 個人間売買後の登記は司法書士へ依頼した方がいいの?
知り合いと土地の個人間売買をするのは危険?
土地の売買の場合、建物と違って欠陥が見つかりにくい特徴があります。例えば、シロアリや境界線などの問題があり、売買後に発覚する可能性もあります。
不動産仲介会社が間に入っていればこのような問題でも対処してくれますが、不動産知識の少ない人同士が取引した場合は問題発見が難しいです。
より確実に取引したいのであれば、取引する前に土地家屋調査士などの専門家に土地の状況を見てもらった方がよいといえます。
個人間売買でも課税される?
個人間売買では主に以下の税金がかかります。
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 登録免許税
譲渡所得税は、不動産を売却して利益を得た際に課税される税金です。例えば、2,000万円で買った家が2,500万円で売れたら黒字分の500万円に対して譲渡所得税か課されます。
印紙税は売買契約書などの課税文書に課される税金であり、契約金額によって税額が異なります。
登録免許税に関しては、抵当権抹消手続きなどの登記を司法書士へ依頼した際に課される税金です。
このように、個人間売買でもさまざまな税金が課されるため、かかる費用と併せて確認しておきましょう。なお、税金については「【費用一覧】不動産売却にかかる費用10選を一挙紹介!」で解説しているので参考にしてみてください。
個人間売買後の登記は司法書士へ依頼した方がいいの?
個人間売買時は、売主の場合は抵当権抹消登記、買主は所有権移転登記が必要です。しかし、これらの登記は複雑なため、専門家である司法書士へ依頼するのが一般的とされています。
司法書士へ依頼すれば、書類準備や手続きの手間が省けるため、よりスムーズに取引を完了できます。
特に不動産売買後は引っ越しもしなければならないため、少しでも面倒な手続きを省きたいと考える人も多いでしょう。そんな方は特に司法書士へ依頼した方がよいといえます。
ただし、司法書士へ依頼する際は依頼料がかかるため、予算状況を考慮したうえで依頼するかどうか判断しましょう。依頼料については「不動産売買における司法書士への立会い報酬とは?」で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
まとめ
不動産の個人間売買について解説しました。
個人間売買は、不動産仲介会社が間に入らないので、売買価格や取引方法、売買契約書の作成などを自分でおこなわなければなりません。
契約事項を詳細に決めないと、売買後に欠陥や不具合が見つかった際にトラブルに発展する恐れもあります。
それでも、仲介会社へ依頼していないので仲介手数料がかからず、費用の面で大きく節約できる特徴もあります。また、当事者同士で自由に契約内容を決められるので、仲介会社を経由する手間も省けます。
通常の取引と個人間売買のどちらがよいかは状況や目的によって異なるため、個人間売買を検討している方は、ぜひこの記事を参考にどちらの方法で売買するか判断してみましょう。