- 不動産の売買契約ってなんだか不安……
- 契約時はどこに注意すればいいの?
- トラブルなく契約できるコツを教えて!
不動産の売買契約は、さまざまな契約事項が絡むので「初めてでも大丈夫かな」「ボッタくりされないかな」と不安に思う方も多いでしょう。
そこでこの記事では、不動産売買契約時に特に注意すべきポイント4つを解説します。
この記事を読めば、トラブルなくスムーズに売買契約を進められるようになります。
初めての不動産売却で不安を抱いている方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産売買契約の注意点①:口頭で契約しない
売買契約は口頭で契約しないように気を付けましょう。
口頭契約の場合、契約したことを証明する物がないため、契約後に「言った言わない」のトラブルに発展するリスクがあるからです。
そもそも、不動産に限らず「モノ」の売買は口頭でも有効です。法律でも「口頭契約」が有効であると定められています。
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。引用:e-GOV 法令検索
しかし、不動産の売買契約は高額であり、口頭契約で済ませてしまうとトラブルになった際、大きな損失を被る危険性があります。
このような理由から、不動産の売買契約は必ず書面を用いて契約した方がよいといえます。
不動産売買契約の注意点②:契約解除に関するルールを理解しておく
不動産売買における契約解除については、さまざまなルールが定められています。
状況によっては違約金が発生したり損害賠償請求されたりする場合があるため、理解しておきましょう。
合意解除
最も無難な方法は、当事者間での話し合いによる合意解除です。
契約した後であっても、相手方が承認すれば無償で解除できます。
手付放棄による解除
手付放棄による解除とは、買主から受け取った手付金を倍額で返還することで契約解除できる制度です。
契約にあたって、買主から売主に対して手付が交付されると、その手付は原則として解約手付と解されます。売主又は買主は、その相手方が「履行に着手」するまでの間であれば、買主はその手付金を放棄し、売主はその倍額を償還していつでも契約を解除することができます。
「履行の着手」とは、買主が売買代金を支払ったり代金の準備をしたりする行為です。
この「履行の着手」までに手付金を倍額で買主へ提供することで、一方的に契約解除できるのです。
例えば、買主から手付金200万円を受け取っている場合、400万円を買主へ提供すれば契約解除できます。
債務不履行による解除
債務不履行とは、不動産の売買において売買代金を支払わなかったり、物件を引き渡さなかったりなど「債務の履行」をおこなわない行為をいいます。
例えば、売主が買主に対して売買代金の支払いを請求したにもかかわらず、一定期間求めに応じない場合は売主が一方的に契約解除できます。
詐欺・強迫による契約取消し
詐欺や強迫によって契約していた場合、当事者は一方的に契約を取り消せる場合があります。
例えば、悪徳業者に騙されて売主が当該悪徳業者へ誤って家を売ってしまった場合は、詐欺を理由に契約を取り消せます。
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。引用:e-GOV 法令検索
ただし、悪徳業者に騙されて詐欺の事実を知らない第三者へ家を売った場合は契約を取り消せません。
詐欺によって家を売ってしまった場合は、状況次第で契約を取り消せるかどうか異なるので注意が必要です。
なお、強迫を受けていた場合は無条件で契約を取り消せます。
住宅ローン特約での解除
ローン特約とは、住宅ローンの審査に通らなかった際に契約解除できる特約です。
予定したローンが実行されない場合には売買契約をノーペナルティで解消できるようにするため、あらかじめ売買契約書に融資が受けられないことが確定した場合は契約を解約できるものとする旨を特約したものが、いわゆるローン条項といわれるものです。
住宅ローンを利用するには金融機関の審査に通らなければなりません。しかし、状況によっては審査に落ちる場合があり、住宅ローンを利用できなくなる恐れがあります。
このようなリスクから買主を守るために設けられたのが住宅ローン特約です。
売主としては買主と契約できたのですが、ローンを組めない以上物件を購入できないため、再度買主を探さなければなりません。
不動産売買契約の注意点③:必要事項が記載されているか確認する
不動産売買契約書には、「必要的記載事項」と「任意的記載事項」の2種類があります。
それぞれの具体的な記載事項は以下のとおりです。
必要的記載事項 | 当事者の氏名・住所 |
---|---|
売買代金の額、支払い方法、支払い時期 | |
不動産の引き渡し時期 | |
所有権移転登記の申請時期 | |
既存建物における構造耐力上主要な部分の当事者の確認事項 | |
不動産の表示に関する事項 | |
任意的記載事項 | 代金、交換差金、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額、時期、目的 |
契約解除に関して定めがあればその内容 | |
損害賠償額の予定または違約金に関する定めがあればその内容 | |
代金または交換差金についてローンのあっせんに関する定めがあれば、ローンが成立しないときの措置 | |
天災、その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあればその内容 | |
不動産の契約不適合を担保すべき責任、または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結の定めがあればその内容 | |
不動産に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあればその内容 |
上記の内容が契約書に記載されているかどうかを必ず確認しておきましょう。
特に必要的記載事項は重要な内容のため、明確に記載されているか確認しておきます。
不動産売買契約の注意点④:契約不適合責任に気を付ける
契約不適合責任とは、契約内容に適合しない内容があった際、買主が売主に対して責任追及できる制度です。
具体的には、「目的物の種類、品質、数量」に関して契約内容と相違がある場合、売主は損害賠償や契約解除などを負う可能性があります。
不動産で例えれば、売却した建物の柱や壁などが劣化しているにもかかわらずその事実を買主に告げずにいたため、雨漏りや白アリの被害に遭った場合、売主は契約不適合責任を負うということです。
また、契約不適合責任の内容や期間についても確認しておきましょう。
契約不適合責任の内容
契約不適合責任に問われた場合、買主より修補の請求を受けます。
雨漏りや白アリが発生していた場合は、雨漏りの修繕や白アリの駆除などを売主が負担します。
しかし、修補の請求に応じない場合は買主より損害賠償請求、売買代金の減額、契約解除などを受ける場合もあります。
契約不適合責任の期間
契約不適合責任は、買主が契約不適合について知ったときから1年以内に売主に対して請求した場合に有効となります。
このように、売主は買主に対して契約不適合責任を負う可能性があることを理解しておきましょう。
不動産売買契約に関するよくある質問
不動産売買契約に関するよくある質問を紹介します。
売買契約時に抱きやすい疑問や不安を参考にしてみてください。
- だれが作成するの?
- 売主が契約時までに準備しておくものは?
- 不動産会社を介さないで個人間でも契約できるの?
- 売買契約当日の流れは?
だれが作成するの?
売買契約書は、不動産会社が仲介している場合は不動産会社が作成してくれるため、売主側で作成する必要はありません。
売主が契約時までに準備しておくものは?
売買契約時はさまざまな書類が必要です。役所で貰う書類もあるため、余裕を持って準備しましょう。
必要なものについては、「【完全網羅】戸建て売却時に必要な書類20選!」をご覧ください。
不動産会社を介さないで個人間でも契約できるの?
不動産売買は、不動産会社に仲介してもらわなくても取引できます。
ただし、費用が高額だったり専門知識が必要だったりするため、知識の浅い一般の人同士で取引すると、取引後にトラブルへ発展する恐れがあります。
場合によっては裁判沙汰になる可能性もあるため、できれば不動産会社に仲介してもらった方がよいでしょう。
売買契約当日の流れは?
売買契約当日は以下の流れで進みます。
- 売主、買主、担当者、宅建士が所定の場所に集まり顔合わせ
- 宅建士による買主に対する重要事項説明書の説明と交付
- 売買契約書の説明、交付
- 売主、買主の双方が売買契約書に記名・捺印
- 買主から売主に対する手付金の支払い
- 仲介会社へ仲介手数料の支払い
- 引き渡し・決済のスケジュール調整
売買契約時は関係者が集まり、重要事項説明書や売買契約書などの大切な書類に関する説明や交付がされます。
各書類の内容をしっかりと理解したうえで記名、捺印しましょう。
その後は手付金の受け取りや不動産会社への仲介手数料の支払いなど金銭面が動き出します。
最後は不動産の引き渡しや決済に関するスケジュール調整をして終了です。
まとめ:不動産売買契約時の注意点を理解してスムーズに契約を進めよう!
不動産売買契約時の注意点4選を解説しました。
売買契約は口頭で契約できますが法的拘束力がないため、売買契約書を用いて契約するのが一般的です。
しかし、売買契約書には契約に関するさまざまな事項が記載されており、内容を理解していないと契約後にトラブルに発展する恐れがあります。
契約前に不動産会社から売買契約書のコピーを貰うなどして、事前に内容をしっかり理解しておきましょう。
これから不動産の売買契約を控えている方は、ぜひこの記事を参考に売買契約を進めてみてください。